8月、君に会いたい
このガラス戸を破って「会いに来たよ」そう言いたい
君と二度と会うことは叶わない。分かっていても望んでしまう。
君の泣き顔はもう見たくない。綺麗な顔が歪んだ姿を見たくない。また慰めさせてくれないか…
あぁ…もどかしい。僕はこんなに近くにいるのに…
たとえ君が死んでしまっても僕と会うことは出来ないけど、君の事を誰よりも想っているよ。
約束を破った僕を君も神様も許さないだろうけど、良いんだ。君が生きているから。
これは自己満だ。君なら一緒に黄泉の国へ旅に出てくれるだろうけど。
大事な女を守れないような男じゃない。
僕は、8月、君に会いに行けないけど、
ずっと愛しているよ
※8月お盆はご先祖様が帰ってくることができます。
虹の始まりを探して
あぁ、なんで死んでしまったんだ。
大好きだった。やっと結婚したのに…。
君がいない人生なんて考えられないよ。
だから向こうへ行かないでおくれ……
そんな事出来ないのは分かってる。分かってるけど……
悲しいんだ。愛しているよ。お別れなんてやめてくれ…、
お願いだ、一人にしないで……
あぁ、君が居なくなって家が広く感じるよ。君の部屋はまだ片付けれていない。
君をつい探してしまうんだ。お願いだ。帰ってきておくれ
あぁあれから1年。君が居なくてもオムライスが作れるようになったよ。君が居なくても綺麗にアイロンできるようになったよ。
毎日一つ失敗するたびに君がいかに僕の中で大切か分かった。えがおで家事をしてくれる君は美しかったよね
あぁ、いつ帰ってくるんだ。君に会いたい
そんな事言っったって困らせてしまうだけだよね。ごめんね。それでもこの気持ちは日を増すごとに大きくなっていくよ。誰も君の代わりなんて出来ない。また君の優しく笑ってくれる顔が見たいよ
なぜきみが死ななくちゃいけなかったんだ。君に会いたい。あいつを殺したって何にもならない。分かってる。分かってても憎しみは減らない。
お願いだどんな姿でもいい君に会いたい
僕分かったんだ。君は虹の橋を渡ってしまったのなら僕は虹の端から虹の始まりまで歩く。だから待っててくれ。
虹の始まりでに迎えに来てくれ。
君を絶対に見つけ出すよ。愛してる
またいつか
何があったかは分からない。
ある日突然姿をくらましたあいつとは二度と会えない気がした。
夏休み、なんだか無性に落ち着かなくて、変に鮮やかな青空が気持ち悪かった。
ソワソワして、どうせ課題が滞ってるあいつを手伝いに家へ行くと誰もいなかった。
普段あいつが居なくたっておばちゃんや、弟、お婆ちゃん誰かは居るはずだ。
いつもと違う世界が少し居心地悪かった。
仕方なしに、あいつが居そうな商店街、浜辺、神社色々回ってみた。
騒がしいあいつが居なくて静かで、色褪せた気がした。
結局あいつに会うこともなく帰り道、夕日に反射して綺麗なオレンジ色をした海になんとなく呼ばれた気がして浜辺を歩く。
いつもと変わらないはずなのになんだかやけに落ち着かない。
フラフラと歩いてるとあいつが好きそうな貝殻を見つけた。光に反射してダイヤモンドのようで、貝殻なんて拾う趣味はないけどつい持って帰ってしまった。
その後しばらくして、おばちゃんが訪ねてきた。
あいつが行方不明だと。あのやけに鮮やかな空の日、こつ然と姿を消したらしい。
近所の人の話では商店街、浜辺、神社、いろんなとこで目撃情報はあるけどこつ然と夕方姿を消したらしい。
まさかと、思った。信じたくなかった。
それでもいないものはいない、愛嬌のあるあいつはきっと波にでもさらわれたんだ。
「……その貝殻………どこで………」
もうこの世に居ないかもしれない怖さを味わっているとおばちゃんに聞かれた。あの貝殻は余りに綺麗だったから玄関に飾る事にしたからだ。
「あいつがいなくなったあの日海岸で」
そう伝えるとおばちゃんは突然目から涙がこぼれだした。
なぜ泣いたのか、この貝殻と関係あるのか、なんて声をかけたら良いか分からずあたふたしているとおばちゃんは話しだした。
「この貝殻、あの子が昔海べで拾った貝殻なんよ。間違うことはあらへん。こんなに綺麗なんから。」
……あの日海岸でなぜ俺がこれをひろったのか、なぜ海岸に落ちていたのか、分からない。
あれからもあいつは姿を見せない。警察ももうまともに調査していない。
きっとあの日、あの時、あいつと同じとこを歩いて、あいつの貝殻を拾ったことは運命だ。
あいつに、「またいつか」そう託された気がした。
今を生きる
走って走って走って
たまに止まって、走って走って走って
こける。
立ち上がって走って走って走って走り続けて、
息が上がって動けなくなる。
心臓が煩いくらいに動くのに足を動かすことが出来なくて
歩きたくたって足が言う事を聞かなくて座り込む
少し休憩をしよう
そう思って待ったっていつもみたいに立ち上がれない。
力が入らない足はもう使えない
せめて少し、少しでも、そう思って手の先を手繰り寄せる
足が動かないならせめて腕で、地面を手繰り寄せて、皆の何倍も時間をかけて進む。
そうすると腕も動かなくなった。
皆に声を掛けるしかなくて、皆の動きを止めるのが申し訳ない。それでも自分に出来ることは限られる。
それでも無情に時は進む。
揺れる木陰
ざあざあと風が吹き木々が揺れる音がする。
それにならって無音で木陰も揺れる。
以前来た時生えていなかったこの木も風によって揺らされる。
決して変わらないものなどはなくて、あの巨木だって切られてしまった。
それでも木たちはざあざあと揺れ動く。
一刻一刻と木陰の形は変化していく。
決して同じにはならない木陰。
音を出すことも、己で動くことも出来ない木陰。
しょせん木の飾り。それでも今も揺れている。