微睡みの中

Open App
6/17/2025, 1:57:18 PM

【#10. 届かないのに】
あなたを想うことはやめたはずなのに
まるでひらひらと舞う蝶を見たかのように
気がついたら目で追ってしまう

あなたには私と違うものをたくさんもった
あの人がいるのに

あのとき
なんでもない日のあなたとの会話で
告げられた一言
あなたは得意げにそして嬉しそうに
あの人は俺の彼女だと教えてくれた
その瞬間、暑い世界がいつもより
モワッと、1層暑く、まどろしい暑さになって
周りの音が消えた
「いいですね!お幸せに!」
なんて言えたら良かったのに
私はぎこちない
「あ、、そうなんですね。いいですね」
しか返せなくて
自分のことをなんて惨めな生き物なのだろうか
と悟った

あなたの彼女を嫉妬できる人であれば良かったのに
あなたの彼女は私の知り合いの先輩で
いわゆる同い年カップル
私とあなたとでは1つ学年が違う
そのことをまず恨んだ
そしてあなたの彼女は
私の知り合いの先輩であったことに
恨みきれず、妬みきれずにいた

私の中てぐるぐると渦をまくように
あなたを純粋に好いてた自分を
なんて馬鹿なんだろうと思う気持ちがさまよう

それでも私はなんで
グラスに入った氷が溶けていくように
この思いを溶けさせないのだろう

今日も明日も私はグラスに入った氷を溶かさずに
冷凍庫に入れ、保存して外に出させないようにしている

もう届かないって分かっているはずなのに

6/16/2025, 3:37:33 PM

【#09. 記憶の地図】
ここら辺だっけなぁ。
そう私は1枚の写真を地図にして
あの頃へ戻ってきた。

地図をもとにあの頃の場所に着いた。
私は朝からの式への準備で疲れたので
ブランコに乗って休憩。
誰がブランコを高く漕げるか競い合ったあの日や、
走り回って鬼ごっこした光景が見えてくる。

すると、2人は遅れてやってきて
「ごめん、ごめん笑 こいつが髪型が決まらないって、ずっと駄々を捏ねてさ。」
「なんで俺のせいなんだよ笑」
家は近いのに中学校を卒業してから
あまり会う機会がないせいか、
2人の顔つきや声の感じが少し違って感じた。
けど、やっぱり仲の良さは変わらない。
「せっかく式に行く予定の時間より早いんだから、
写真撮ろうよ!」
あの頃と同じ並びで、同じポーズで
私たちはシャッターをきる



私のアルバムにはまたひとつ、
古い記憶の地図が広がったのだった。

6/15/2025, 3:33:43 PM

【#08. マグカップ】
私のマグカップ
私のお気に入りのマグカップ
あなたから私へのマグカップ

友達と飲んだココア
寒い日に2人で子供みたいに布団にくるまって
「あったかいね」なんて2人で笑いあって
私が猫舌なところを見て大笑い

一人で飲んだ温かい牛乳
寒い日の朝、寒くて身体が動かない私に
母は子供の頃を思い出すかのように
温かい牛乳を出してくれた
家を出てからは
古い記憶を思い出すかのように
温かい牛乳と共に子供の頃の写真を見返した

空からの水か、私から溢れた水か分からないけど
顔をびしょびしょにして
あなたの家に行ったとき
あなたは何も言わず、タオルとお風呂、それと
私のお気に入りのマグカップを出して
温かいコーヒーを出してくれた

あなたと同じ屋根の下で暮らすようになったとき
あなたは私にお気に入りのマグカップをくれた
毎週土曜日は私のお気に入りのマグカップともうひとつマグカップを出して2人でゆっくり語らったり、映画を見るって約束してたな

あなたと一緒に飲んだコーヒー
お互いが相談に乗って欲しいときは
あなたのマグカップと
私のマグカップを取り出して誘い合う
ソファにゆったり座って話して
最後は結局私が先に寝てしまう


私のマグカップ
私のお気に入りのマグカップ
あなたのマグカップ
それも私のお気に入りのマグカップ

でもお気に入りのマグカップは1つになった
私は今日もコーヒーを
お気に入りのマグカップに入れて
あなたのマグカップを思い出す


そうして私は
私の甘くて、温かくて、苦くて、
そっと包んでくれる記憶とともに
1杯をそっと飲み干した



6/14/2025, 2:22:25 PM

【#07.もしもきみが】
私がきみに触れると
私は勝手にきみが好きになって
自分の庭を春の陽だまりのような暖かさにさせてしまう
そして
私に花の香りを忘れなくさせる

しばらくきみと会わなくなると
コロッと私の庭は違う花を植え始め

でも久しぶりにあなたに触れると
その花は私の庭を1面に繁殖していく

いろんな花を受け入れて
すぐに花畑を作ってしまう私の庭


いろんな花に触れることで
どんな花にも絡みついてしまう私の頭の庭は
水やりを忘れてしまう花が生まれる


だから周りの花たちはきっと私を私として見ていなくて
他の綺麗に手入れされ、水やりも欠かさずして貰える
美しい庭で幸せそうに咲いてしまう

そんな庭達がくやしくて努力した
でも

私がどんなに綺麗に手入れして、天気を晴れにして
種を巻いても
私の庭は平凡なまま
私が愛してきた何種類ものの花さえ咲せずに
きみは綺麗な庭で咲いている





たとえ私が最愛の1輪への水やりを忘れていても

もしもきみが私の努力に気づいて
花を咲かせようとしてくれるのなら
きみがまたあの陽だまりの庭へ
私の庭からあなたの庭へ
私の、土で汚れた手を
とってくれるなら
きみの香りを感じたい
きみの香りに包まれたい



6/13/2025, 3:33:23 PM

【#06. 君だけのメロディー】
声がする。
その声はあなたの同級生と話す声色ではないし、あくまで少しお互いのことを知っている"だけ"の先輩・後輩の関係だけれど、言動からあなたの優しさが分かる。

そして、6本の弦で音の高さを変えてメロディーと共に流れる言葉を出す。
あなたの優しさの溢れるメロディーが好き。

笑う。
あなたの落ち着いた笑い声。
あなたの笑い声が好き。

あなたから生まれるリズム。
あなたに強く握られたスティックは、何種類もあるリズムを生み出す場所を正確に使い分けている。
そして、目にも見えぬ早さで
あなたから生み出されるリズムを自由に、
楽しそうに刻んでいる。
あなたの生み出すリズムが好き。

あなたの花が咲いたような微笑みが好き。
私の中で高鳴るメロディーが生み出されるのは少し
体が熱くなる。

でも私は知りたい。

あなたと私の関係が変われるのなら、
変えれるのなら。

あなただけのメロディーを私にも聞かせて欲しい。

あなたの本当のメロディーが知りたい。

Next