お題《変わらないものはない》
それは正論で、ある意味不透明だ。
まだきっと気づいていないだけ。
まだ出会ってないだけ。
でもそれは幸せな真実だ。
宝探しの果てに、美しい真実と出会えるチャンスがいくらでもある。
叶う、叶わないじゃない。
在るか、無いかじゃない。
さあ宝探しに出かけよう、道標のない旅路へ。
お題《クリスマスの過ごし方》
北欧のふわっと柔らかなブランケットにくるまり、広げる物語。紙からたどる夢見の香は、子供の頃憧れた旅への冒険へ連れ立ってくれる。
スパイスが引き立つ林檎のジンジャーティー。
三日月が美しいクッキー。
サンタクロースからのお届けものは、赤金色の児童書とクリスマスのツリーが印象的な夢のあるクリスマスカード。
もうすぐ雪景色の中を駆けてくる。
星屑苺とサンタの砂糖菓子をのっけた大きなクリスマスケーキとハーブに彩られたチキンを抱えて、物語の主人公のように。
お題《プレゼント》
「心のないプレゼントはいらない。そんなもの貰ったって嬉しくない――お前は、違ったんだな」
見抜かれていた。いつものようにデートして、雪化粧のように上手に幻想をかけたはずだったのに。
この男は、油断ならない奴だ。
「クリスマスプレゼント気に入らなかったかな、結構悩んだんだよ? はじめての恋人だから」
嘘を重ねてゆくのは、奇妙な心地良さがある。恋人は飾りで、嘘は極上のトリックだ。すべて完璧だった、今日のこの日を迎えるまでは。
「瞳を見てればわかる。だって俺は――瞳からわかるんだ、お前が見えてない風景が」
鮮やかにテーブルを彩るクリスマスのごちそうも色褪せて、夢は消えてゆく。
恋人だった、確かに。
真実は歪んでいく、知らぬところで、闇を咲かせて。
お題《大空》
現実を生きていくためには《剣》が必要だ。
覚悟が切り開く。
現実を生きるためには《物語》が必要だ。
物語は遥か彼方遠くの果てまで飛べて、自分の世界に寄り添ってくれる一番の良き理解者だと思うから。
お題《ベルの音》
霧がたちこめる最果ての駅の錆びれたベンチで沈黙する。
美しかった緑の庭園があった駅は、深淵の底にある。
どうしてこの物語を止められなかったのか。
どうして俺は。
俺は――《始まり告げる鐘》なのか。
俺はもうきっと――ここにはいられない。
まもなく扉が現れる。
駅を巡り続け、そこにある幻想を解かなければ。
彼女へと、辿り着くために。
彼女は、永遠にそれを望まないのだろうけど。