椿灯夏

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お題《プレゼント》


「心のないプレゼントはいらない。そんなもの貰ったって嬉しくない――お前は、違ったんだな」



見抜かれていた。いつものようにデートして、雪化粧のように上手に幻想をかけたはずだったのに。


この男は、油断ならない奴だ。


「クリスマスプレゼント気に入らなかったかな、結構悩んだんだよ? はじめての恋人だから」



嘘を重ねてゆくのは、奇妙な心地良さがある。恋人は飾りで、嘘は極上のトリックだ。すべて完璧だった、今日のこの日を迎えるまでは。


「瞳を見てればわかる。だって俺は――瞳からわかるんだ、お前が見えてない風景が」


鮮やかにテーブルを彩るクリスマスのごちそうも色褪せて、夢は消えてゆく。



恋人だった、確かに。


真実は歪んでいく、知らぬところで、闇を咲かせて。


12/23/2024, 12:54:17 PM