お題《スリル》
嘘をつき続けるのは美しい毒で、日常を甘く、時に痛いほどの絶望と虚無感で麻痺させる。
スリルは快楽《スパイス》。
スリルは劇薬《ポイズン》。
一生溺れて、一生抜け出せない幻想。
お題《眠りにつく前に》
神様にありがとうを伝える。
明日もよろしくお願いします、と。
どんな生き方をしてても、やっぱり感謝は大切。
これも小さな幸せのひとつ。積み重ねていくと、いつかきっと大輪の花が咲いて、すてきな花園になるんだと想うわたし。
空想は果てしなくどこへだっていけるの、わたしは臆病だけど空想の翼は壮大だ。
お題《懐かしく思うこと》
積み重なった言の葉を書き留めたノート。
意味のわからない、言の葉の羅列さえも愛おしい年月の証。
今だって、道は昏く道標の灯りがあっても歩くのは怖い。
それでも歩いてゆけるのは、彼《物語》があったから。
そして彼女《言の葉》は連れていってくれる――私をいつだって。遠い遠い旅路にさえ、友にゆく旅人になって。
世界はいつだって木漏れ陽に満ちている。
お題《紅茶の香り》
不変な幸福などありはしないのに、哀れな鳥籠の鳥は夢をみる。
きっと信じたくないのだろう。終わりのある幸福、そしてそれが泡沫で、幻想なのだという真実を。
青いエデンを築き、国を失った彷徨う民たちを救い、そして一国の王として祭り上げられた。――砂漠の真ん中に夢の城を、そして美しい水面の夜明けのような鮮やかな紅茶を国の名産品にし、そこからさらに茶畑を拡大していった。
珍しい茶葉のある、砂漠の楽園《オアシス》。
ここへ立ち寄り、そのまま住まう者。――誰も彼もが望みを持ち、だからこそ、ここは美しい楽園なのだ。
俺にはひとつ望みがある。
それを叶えるために俺は。
――華やかで美しい香りとは似合わず、毒々しい味のお茶を飲みながら今日も、果てのない夢をみる。
お題《行かないで》
ありふれた言葉では何も叶わない、届かない。
常識なんてものは滑稽だ。
言葉にしなきゃ何も伝わらない、だって人は、そんなに優れた生き物じゃない。
愚かさでいい。
その、愚かさがいい。