月下の胡蝶

Open App
7/13/2024, 2:21:22 PM

お題《優越感、劣等感》





数字は生きる上での便利な道標。


刷り込まれてゆくだけ、嘘が。



生きる上では必然的だけど、でもそれは自分を殺すもの。



今日も僕らはまた、数字の盤上で運命を奏でてゆく。

7/12/2024, 11:17:44 AM

お題《これまでずっと》



「俺と一緒に来るか」



錆びた街の片隅差し伸べられた手は、光の一雫のようだった。



凍てついた夜風が白い花弁を舞い上げる。青い月を背に佇む青年は――鳥の王だ。編み込んだ後ろ髪には、天青石の髪飾り。胸元を飾るのも、青く澄んだ宝石だった。


彼の肩には見たこともない鳥がとまっている。



「どうして? だってわたし、何も持ってないよ……」


「あるじゃないか。俺はお前の微笑った顔が好きだ、お前の奏でるハープの音色も歌も――全部好きだよステラ」


「――――っ」


もう呼ぶ人がいないその名は。


もう、誰も好きだと言ってくれないはずだった、それなのに。



この人は、あたたかい。



木漏れ陽のように。母が昔作ってくれたスープのように。


7/11/2024, 11:56:38 AM

お題《1件のLINE》



神隠しの杜。


そこは夏の記憶の中、忘れじの森。



貴女を待っている。



夏の記憶で。――でもそこに《季節》はない。






初夏に舞い込んだのは、忘れたくても忘れられない言葉の森だった。



7/10/2024, 10:41:17 AM

お題《目が覚めると》



春は過ぎ去り命が眠る冬になっていた。


『――おはよう』


旅人の言葉は、どんな言葉よりも優しく重たいものだった。



「……おは、よう」


沈んだ言葉が浮上するには、まだまだ時間はかかるだろう。それでも今、返したかったどうしても。



旅人は何も言わなかった。それでも確かに想いは伝わり繋がっていて、千年たとうが二千年たとうが、オレたちの関係性は何も変わらない。



窓の外では白い花が舞っている、まるでふたりを祝福するかのように。


7/9/2024, 12:41:55 PM

お題《私の当たり前》



日常の片隅空想にふけること。



綴ること。



物語の海を游ぐこと。




ひとりきりの世界に星が瞬き、星の海となる。



ひとりきりじゃない。


私のそばには《物語》があった。

Next