月下の胡蝶

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お題《七夕》


コンペイトウが散らばる紺碧の空に向かって伸びる竹は、願い事を織姫と彦星に届けようとしているのだろうか。


麦茶を飲みながら縁側で空想にふける。足元で戯れる猫をいなしながら、風に泳ぐ短冊を魚みたいだなと思わず笑ってしまう。


「兄ちゃん願い事なに書いたの? ぼくが彼女できるように書いてあげようか」


「兄ちゃんはモテるんです」


「ほんとに〜?」



台所からこっそりスイカをくすねてきた弟が差し出す、ルビー色に輝く果実を受け取る。





俺が願ったのは――もう、叶えられているけど。


でもいいんだ、それで。


7/8/2024, 12:51:06 AM