月下の胡蝶

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3/29/2024, 3:05:15 PM

お題《ハッピーエンド》


崩れ落ちてゆく白銀の柱。


天高く地上を照らすルビームーン。


美しい言の葉の庭園は、あっけなくカタチを失い、死へと歯車を走らせる。



それでも愛しいあなたが還ってきてくれた。


色褪せた美しい絵本のようなあなたを胸に抱いて、私は花のような笑顔を散らした。





「あなたがいれば物語は続いてゆくの、永遠に枯れない幸せが」



3/26/2024, 4:44:53 AM

お題《好きじゃないのに》



「あなたには――が似合うわ」


「――と――、どっちにする?」




私は曖昧に笑って、興味なさげに適当にえらぶ。



心を殺して閉ざして生きる人生は――無価値以外の何者でもない。



だから。


月灯りのように、静かで穏やかな笑みを浮かべて。




「大丈夫。ゆっくり選ぼう、いくらでも待つよ。君の言葉、なんでもいい。聞かせて?」





それは、静かに涙雨が降る時間でした。


3/24/2024, 4:10:51 PM

お題《ところにより雨》



神隠しに逢ったあの人を追ってゆく先で必ず降る、蒼白の雨。



でもその雨は。



「私にしか、見えない」





この世界は不自然で、そして奇妙だ。



いまだ真実は遠く、雨は、私に幻想をかける。


3/23/2024, 12:42:13 PM

お題《特別な存在》


月灯り、木漏れ陽。


彼の人生はそれしか記憶にない。光に祝福された、生。


黄昏も深い深淵の泳ぐ夜の底など識らないのだ。



彼女は水鏡に映る己の姿を見て、嘲笑した。



醜い灰の髪に痩せこけた頬。



粗末な布で織られたワンピース。



彼とは、何もかもが真逆なのだ。



彼女は一瞬でも愛を咲かせた真実を、心底嘆いて深淵と消えていった。



永遠に彷徨い歩くのだとしても。それは、安らぎの揺り籠に過ぎない。


1/31/2024, 12:22:48 PM

お題《旅路の果てに》


交わす言葉は道標。


小さな旅路のお供は古びた絵本。



誰にも歓迎されなかった旅路に舞う風花。






それでも手にしたものは――抱えきれないほどの、星の海。



星のランプを創って、またその旅路を辿ろう。



今度は、君と一緒に。



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