6/18/2023, 3:33:55 AM
お題《未来》
子供の頃描いていた遠い未来は、今生きてる真実よりずっとずっと、輝いていた。
でも現実は砂糖菓子のように甘くもない。
それでもそんな悪夢のような日々でも、味付けによっては変わっていくかもしれない。
万が一自分の物語が美味しく料理できなくとも大丈夫だ。一緒に食べて、考えることはできるから。
人は、そうであってほしい。
6/13/2023, 11:46:27 AM
お題《あじさい》
灰空で気持ちが沈む通学路。
坂道の端に植えられた紫陽花。
想えば想うほど。
泣けば泣くほど。
あなたの消えたあの朝を。
あなたと約束したあの刹那を。
後悔しない日はない――六月の罪と呼ばれた、あの悪夢を。
「紫陽花なんてダイキライ」
「あの日の罪が沈むことはない」
「…………おれはもう、いないんだよ」
六月の罪を。
六月の罪が。
変えてしまったんだ、世界のことわりを。
6/11/2023, 11:05:08 AM
お題《街》
空白のスケッチブックに街を描いた。
少女の。少女だけの――空想の街。
孤独な少女が手に入れた、唯一の希望だった。
旅人のお兄ちゃんがくれた、彩が宿る不思議なスケッチブックだ。その他にも不思議なものをたくさん見せてくれた。星を淹れたティーポット、枯れた植物が元気になる水、歌う妖精ドーム、お茶会をひらいてくれるブリキのおもちゃ。
少女が手に入れたのは、生きてゆくための光と大切なきずな。
6/5/2023, 1:34:56 PM
お題《誰にも言えない秘密》
深海の底に沈めた歴史。
永遠に水底で、眠っていてほしい。
6/3/2023, 3:02:41 PM
お題《失恋》
好きじゃなかった。
だから失恋じゃない、失ったわけじゃない。
それでも桜の花が散るように、零れてしまう。
あなたの声とよく合う、いちごみるくみたいな彼女の笑い声。
廊下は淡く色づいて。
教室の片隅で震える肩。
好きじゃ、なかった。