蒼月の茜雲

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11/29/2022, 3:17:09 PM

テーマ“冬のはじまり”

朝、目が覚めて
ふと、窓を開ける。

キラキラと路面が白くなっているのが見える。
ああ
霜が降りたんだなとそう思うと
もう冬か……
そして、身震いする。
呼吸をすると、鼻や喉に
ヒンヤリとした空気が入ってくる。

寒っ。
慌てて窓を閉め、再び布団に潜り込む。
だがしかし、既に布団も冷たくなっていた。

早く目覚めたというのに
二度寝が出来ないなんて…
そう思いつつ
仕方が無く、二度寝は諦める。
お湯を沸かし、ホットコーヒーを作り、飲んで
ほっと息を吐くと、その息が白く見えた。


ああ、今年も冬が来たんだな…。
そろそろ今年も終わる…。

ホットコーヒーだけでは流石に
体は温まらないので
早めに準備しておいた
電気ヒーターの電源を入れ
温まる。
ああ、快適。
此処から離れたくない。
そう思うものの、コーヒーには利尿作用がある。
残念ながら
早々に離れなければいけない。

それも、冬のはじまりを感じさせる事でもあった。

11/28/2022, 10:09:18 AM

テーマ“終わらせないで”

今日発売の予約してたゲームが届くと
連絡があった。
楽しみにして、帰宅すると
何故か、開封されていた。
「あ、姉ちゃんお帰り」
リビングのソファーで寛いでいる弟
「ねえ、これ、何?」
床に落とされているゲームソフトのケースを見せる。
「何って…ゲームだけど?」
「なんで開封されてるの?」
「俺へのプレゼントでしょ?」
当然のごとく言ってくる弟。
「は?」
「だって、それ、俺がやりたいって言ってたから」
「ふ…ふざけんな!自分のバイト代で買え!」
「は?意味分かんねぇし。」
ゲームソフトだけならまだいい。
ゲーム機本体も私の物だ。
勝手に…ゲームやって、しかも見たところ
クリアしている。

勝手に終わらせないで!

(家族でも別の人が宅配便を開封するのは、犯罪)

11/27/2022, 2:39:11 AM

テーマ“微熱”

生まれて初めて恋をした。
いや、恋と認識した。

見つめているだけで
声を聞くだけで
胸の鼓動が高鳴る。

まるで、風邪の初期症状のように
頬が微熱を纏う。


……本当に風邪かもしれない。

11/25/2022, 2:33:47 PM

テーマ“太陽の下で”

芝生の上で寝転ぶと
横に影が落ちる

「また。こんなところで」
そう言ってボクの顔を覗き込む
女が居る。
「……」
ボクは、目を逸らす。
「此処、いい場所よね」
「………」
ボクは、目を閉じる。
隣に座ったような感触がする。
ボクは少し、間を空けるように移動する。

「なんで逃げるの」
間を詰めるように、近付いてくる。
せっかく、太陽の下で
日光浴をしているというのに
邪魔ばかりしてくる。

本当に、邪魔な女だ。
近付きたいのは、ボクじゃないくせに
相手にされないからって
ボクは、騙されないからな。

そうしてボクは、目を開けて
女の横をすり抜けるようにして
家へと帰る。
「またね、猫ちゃん」
ぞわりと背筋が凍りそうになる。
ボクは駆け出す。

太陽の日が降り注ぐ
眩しい。
それなのに、ボクの日向ぼっこは
邪魔された。

とてもとてもとても
不愉快極まりなかった。

11/23/2022, 10:31:19 AM

テーマ“落ちていく”

信じていた。
ずっと。
ずっと。
「愛してる」
そう言ってくれていたのに。

…私では無かった。
隣りに居たのは。
1週間前まで、笑顔で隣りに居たのに。
今、隣で笑っているのは
私じゃない人。

白いドレス
白いタキシード
幸せそうに笑う二人。
赤ワイン頭上から掛けたいくらい。
その位の憎しみと恨みと執念。

どうしてここに私は居るの?
そっち側じゃないの?
「ユキネ、来てくれてありがとう」
白いドレスを身に纏った
「アスカ、おめでとう」
私はそう返す。
「あ、シュウゴさん、この子、私親友のユキネ。」
「ハジメマシテ」
私は笑顔を浮かべる。
彼は私から一瞬目を逸らし
「いつも、アスカがお世話になってます 」
そう笑いかけてくる。
「いえ、お世話になってるのは私の方です」
そう、笑顔で返す。

あぁ、腹立たしい。
今すぐ、その白い衣装を紅く染めたい。
赤ワインで。
…いや、赤ワインだからと言って
紅くは染まらないか。

「…これからも、アスカと仲良くして欲しい」
彼は目を逸らしながらそう言う。
「勿論です」
ねぇ、シュウゴさん?
言われた事無いでしょう?
アスカに
「愛してる」なんて。


今時珍しい、政略結婚。
そこに愛はない。
少なくとも、アスカは私を愛しているし
私もアスカを愛している。

私とアスカの関係を知っている
シュウゴさんは、目を合わせられないんだろうと思う。

昔見たドラマみたいに、結婚式場から連れ出したいけれど、流石に無理。
私の腕力と脚力じゃ、連れ出せない。

私は落ちていっても後悔はないけれど
アスカを道連れには出来ない。

落ちていくのは私1人だけで…。

(同性愛は難しい)

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