蒼月の茜雲

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テーマ“太陽の下で”

芝生の上で寝転ぶと
横に影が落ちる

「また。こんなところで」
そう言ってボクの顔を覗き込む
女が居る。
「……」
ボクは、目を逸らす。
「此処、いい場所よね」
「………」
ボクは、目を閉じる。
隣に座ったような感触がする。
ボクは少し、間を空けるように移動する。

「なんで逃げるの」
間を詰めるように、近付いてくる。
せっかく、太陽の下で
日光浴をしているというのに
邪魔ばかりしてくる。

本当に、邪魔な女だ。
近付きたいのは、ボクじゃないくせに
相手にされないからって
ボクは、騙されないからな。

そうしてボクは、目を開けて
女の横をすり抜けるようにして
家へと帰る。
「またね、猫ちゃん」
ぞわりと背筋が凍りそうになる。
ボクは駆け出す。

太陽の日が降り注ぐ
眩しい。
それなのに、ボクの日向ぼっこは
邪魔された。

とてもとてもとても
不愉快極まりなかった。

11/25/2022, 2:33:47 PM