蒼月の茜雲

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テーマ“落ちていく”

信じていた。
ずっと。
ずっと。
「愛してる」
そう言ってくれていたのに。

…私では無かった。
隣りに居たのは。
1週間前まで、笑顔で隣りに居たのに。
今、隣で笑っているのは
私じゃない人。

白いドレス
白いタキシード
幸せそうに笑う二人。
赤ワイン頭上から掛けたいくらい。
その位の憎しみと恨みと執念。

どうしてここに私は居るの?
そっち側じゃないの?
「ユキネ、来てくれてありがとう」
白いドレスを身に纏った
「アスカ、おめでとう」
私はそう返す。
「あ、シュウゴさん、この子、私親友のユキネ。」
「ハジメマシテ」
私は笑顔を浮かべる。
彼は私から一瞬目を逸らし
「いつも、アスカがお世話になってます 」
そう笑いかけてくる。
「いえ、お世話になってるのは私の方です」
そう、笑顔で返す。

あぁ、腹立たしい。
今すぐ、その白い衣装を紅く染めたい。
赤ワインで。
…いや、赤ワインだからと言って
紅くは染まらないか。

「…これからも、アスカと仲良くして欲しい」
彼は目を逸らしながらそう言う。
「勿論です」
ねぇ、シュウゴさん?
言われた事無いでしょう?
アスカに
「愛してる」なんて。


今時珍しい、政略結婚。
そこに愛はない。
少なくとも、アスカは私を愛しているし
私もアスカを愛している。

私とアスカの関係を知っている
シュウゴさんは、目を合わせられないんだろうと思う。

昔見たドラマみたいに、結婚式場から連れ出したいけれど、流石に無理。
私の腕力と脚力じゃ、連れ出せない。

私は落ちていっても後悔はないけれど
アスカを道連れには出来ない。

落ちていくのは私1人だけで…。

(同性愛は難しい)

11/23/2022, 10:31:19 AM