テーマ“すれ違い”
社会人になり、学生時代の友人たちと
疎遠になった。
皆が皆、土日祝休みってわけでは無いし
職種により、働く時間も異なる。
会おうねなんて言っても簡単に会えるわけではないと
そう思っていた。
仕事が終わり、ふと
街中を歩いていると
私を除いた、所謂いつメンだった人達と
すれ違った。
一瞬気不味そうな表情を浮かべたけれど
何もなかったかのように
彼女達は私の横を通り過ぎて行った。
例え、断るだろうと思っていても
誘ってほしかった。
誘う事すらせずに、ハブられていた事実を知り
挨拶さえされず
ああ、そうか
彼女たちにとって私は別に
【いつメン】でも何でも無かったのだと
ようやく気が付いた。
その後、弁明をするようなメッセージも何も届かなかったのが
きっと、つまりは、そういう事なのだろう。
彼女達のグループメッセージに
【ありがとう】とだけ残して
私はそのグループを抜けた。
彼女たちの連絡先を消して
そのグループメッセージのアプリも消した。
きっと、誰もそのグループメッセージは
既読しなかっただろうと予測する。
社会人になってから
ズレが生じたのではなく
元々、何も合って居なかったのだと
ようやく気がつけた。
あの日、すれ違わなければ
永遠に気がつけなかった。
私の勘違い、気付かせてくれて
ありがとう。
そして、永遠にさようなら。
貴女達と、すれ違っても
二度と話し掛けないし、話し掛けないでください。
ーBADENDー
テーマ“秋晴れ”
いつもより
ほんの少しだけ早く目覚めた私は
軽く着替えて
外に出て、背伸びをする。
すうーっと鼻から息を吸うと
数日前までは、
まだ残暑が厳しかったとは思えないほど
冷たい空気が入ってくる。
思わず、涙目になり
上を見上げると
空は高く青く澄んでいる。
空はキレイなのに
此処はこんなにも寒い。
腕をさすりながら
家の中へと戻る。
そろそろ、こたつ出そうかな。
そんな事を考え始める。
秋は短し、北国の季節。
テーマ“忘れたくても忘れられない”
今でも、夢に見る。
あの日を。
あの日、あの時間、あの場所に
私が一緒に居られたのなら
救う事が出来たかも知れない
そう思うと未だに、後悔する。
いつの間にか
あの日から年月が経過し
11年と7ヶ月も過ぎていた。
大地震、津波、そして火事…
家を失くし、家族を亡くし、街が消えた
幾ら復興しても
戻って来ない人達
戻って来ない物
消えた思い出
後悔しか残っていないのに
何故私は…今、此処で生きているんだろう。
テーマ“やわらかな光”
晴れた日の午後
なんの予定もなく
公園の木陰に座っていた。
周りには誰も居らず
ただ、木漏れ日だけが
照らしていた。
暑くもなく寒くも無く
ポカポカとしていた。
あまりにも心地よいから
スヤスヤと眠りに落ちていたら
いつの間にか
辺りは夕暮れに差し掛かっていた。
慌てて起き上がると
「コダマ」
そう名前を呼ぶ、ご主人様が居た。
「にぁ…」
伸びをして、ご主人様に飛びつくと
「さぁ、帰るよ。そろそろ寒くなるんだから、あまり出かけたら駄目だよ」
「にぁー…」
一応返事をしておく。
だけれど、また
きっと、木漏れ日のやわらかな光を求めて
此処に来るのだと
本能で悟っている。
テーマ“鋭い眼差し”
ここ数日、殺気を感じている。
誰からかなのかは、分かっている。
数日前から、隣の席になった女子生徒
名前は……覚えてはいない。
陰キャな俺が覚えていても
嫌だと思うので
覚えないようにしている。
おそらく、彼女は
俺が邪魔なのだろうと思う。
俺の反対側の隣の席に
このクラスで一番イケメンの陽キャが居る。
そのイケメンを見つめたいのに
俺という、陰キャのせいで
見つめられないという事が許せないのだろう。
休憩時間になったら
俺は逃げるように教室を出て
授業が始まるギリギリに戻ってくると言う生活をしているが…
それでも、殺気は消えない。
登下校時もずっと殺気を感じる。
消えてなくなりたい…。
俺が何をしたのかと言うのだろう
(陽キャ怖い)
ー別視点ー
隣の席になった陰キャが
思った以上に好みのタイプだった件について。
四六時中見つめている。
たまに、アタシに怯えたような視線を向けてくるけど、
それも、めっちゃ可愛い。
登下校時間も頑張って合わせてみた。
本当に天使みたい…可愛い。
好き…尊い…。
神様ありがとう。(都合良い時だけ信じるタイプ)
この二人が両想いになる日は…多分来ない。