テーマ“やわらかな光”
晴れた日の午後
なんの予定もなく
公園の木陰に座っていた。
周りには誰も居らず
ただ、木漏れ日だけが
照らしていた。
暑くもなく寒くも無く
ポカポカとしていた。
あまりにも心地よいから
スヤスヤと眠りに落ちていたら
いつの間にか
辺りは夕暮れに差し掛かっていた。
慌てて起き上がると
「コダマ」
そう名前を呼ぶ、ご主人様が居た。
「にぁ…」
伸びをして、ご主人様に飛びつくと
「さぁ、帰るよ。そろそろ寒くなるんだから、あまり出かけたら駄目だよ」
「にぁー…」
一応返事をしておく。
だけれど、また
きっと、木漏れ日のやわらかな光を求めて
此処に来るのだと
本能で悟っている。
テーマ“鋭い眼差し”
ここ数日、殺気を感じている。
誰からかなのかは、分かっている。
数日前から、隣の席になった女子生徒
名前は……覚えてはいない。
陰キャな俺が覚えていても
嫌だと思うので
覚えないようにしている。
おそらく、彼女は
俺が邪魔なのだろうと思う。
俺の反対側の隣の席に
このクラスで一番イケメンの陽キャが居る。
そのイケメンを見つめたいのに
俺という、陰キャのせいで
見つめられないという事が許せないのだろう。
休憩時間になったら
俺は逃げるように教室を出て
授業が始まるギリギリに戻ってくると言う生活をしているが…
それでも、殺気は消えない。
登下校時もずっと殺気を感じる。
消えてなくなりたい…。
俺が何をしたのかと言うのだろう
(陽キャ怖い)
ー別視点ー
隣の席になった陰キャが
思った以上に好みのタイプだった件について。
四六時中見つめている。
たまに、アタシに怯えたような視線を向けてくるけど、
それも、めっちゃ可愛い。
登下校時間も頑張って合わせてみた。
本当に天使みたい…可愛い。
好き…尊い…。
神様ありがとう。(都合良い時だけ信じるタイプ)
この二人が両想いになる日は…多分来ない。
テーマ“子供のように”
何年ぶりだろうか。
小学生の頃の仲間達と
同窓会をした。
変わらぬ者
変わった者
様々だったが
皆、あの頃の思い出話に花を咲かせていた。
けれど、時間が経つにつれ
結婚をして子供が、とか
仕事は何をしているだとか
現在の事に話が変わっていく。
私には何も無い。
結婚もしてない、子供も居ない
仕事も定職に付いていない。
子供の頃のように
みんな同じでは無いと分かっては居るものの
とても、居心地が悪く
途中で逃げるように帰ってしまった。
同じ教室で、同じ授業を受けていたはずなのに
あの頃と同じ関係では居られないのだと
切なくなった。
テーマ “カーテン”
少女漫画でありがちのカーテンの裏に隠れての口づけ。
「あれ、窓の外からは見えてるよね。」
そんな事を言いながら、ふと校舎を見る。
「…おー…」
まさに、そんなシチュエーション真っ只中の人と
目があってしまった。
誰かは、知らないけれど。
慌てて目を逸らす。
「見られたいんじゃない?」
苦笑いをした友人と、そんな事を言い合う。
「若いって…凄いね」
「若さ故の過ちに気付くのは…」
「気付かないよ。多分」
「そうだよね」
「きっと、老いてから同じ事してる若人(わこうど)を、ヤレヤレって目で見るんだよ」
「今の私達みたいに?」
「そこ迄老いてないし」
そう言いながら、通り過ぎて行く。
全く別のカーテン越しに、
誰かが見つめていた事を
彼女たちは知らない。
何故
泣いているの?
何故…?
慰めたくても慰められない
手をかざしても
すり抜けるだけ…
声が聴こえるのに
顔が見えるのに
抱き締めてあげたいのに
すり抜けるだけ…
ごめんね。
その涙の意味は私のせい?