【この世界は】※フラアサ
大陸の端、だだっ広い海に浮かぶ島にこもりきりなちびっこ。アーサーにとって、フランシスは世界の果てであった。いつも華やかな衣をまとい、自国の流行りだなんだを教えて、というよりかは自慢してくる気にくわないスットコバカは何時も自分の知らない世界を持ち出した。
だがアーサーとて野心家であった。大きくなりたい。あいつより家を広くしてやって、あいつの知らない世界を見て、あいつの知らないことを語ってやるのだ。そのときの奴の顔はさぞ見物だろう。
--いつか言っていたような気がするな、400年ぐらい前だったか?俺のことを征服するのが夢だったと。
【未完】
【どうして】※ソワアリ
アリスはフランソワーズに憧れていた。国としても、それ以上に個人としても。特に彼女のたおやかに舞ううつくしい髪は、長いこと島にこもりきりな貧相な娘を魅了してやまなかった。フランソワーズはそれを知っていた。隣の小娘が自分を追いかけるさまがどこか愉快で、それでいて楽しかった。
だのになんだ、これは。数世紀たって隣の小娘はたちまち世界の覇権を握ってしまったではないか。
【未完】
フラアサばっかりだからソワアリも書きたかったのになにも浮かばないよ......自分に憧れていたアリスをずっと引きずるめんどくさいソワが書きたかった
【夢を見てたい】※フラアサ
数十年越しの想い人。眉毛が太い意地っ張り。昔から変わらないそれがどうしてか愛しくてたまらない。フランシスが彼を好きだと思ったころには出会ってから千年以上もたっていたわけだが、いざ好きだと認めてもなんら変わったことはなかった。
いつも通りちょっかいをかけて、怒らせて、でも満更でもなさそうな童顔を目に焼き付ける。フランシスはその様式美を崩したくなかったし、必要もない。ただ、少し、相手からどう思われてるかだけ意識し始めた。
先述のとおり、満更でもないのだ。たしかにアーサーからちょっかいをかけるより、フランシスから突っかかるほうが多かった。でもアーサーもフランシスに絡まれるのを待っている節があった。
--期待していいのかな
フランシスは、弱い男だった。
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あぁまたこいつか。いつもいつも飽きずによくやるこった。
【未完】
【ずっとこのまま】※フラアサ
「ねえこれ、いつまで続ける?」
フランシスの一言だった。
「嫌になったか?もう」
所謂セフレというものに成り下がっていたフランシスとアーサーは、だいたい隔週ごとに一夜の夢を結んでいた。
始まりはなんだったか覚えてすらいない。そんなことはどうだってよかったのかもしれない。人間のように年をとれないせいか、終わりの見えない気がする関係だった。
ベッドの上であぐらをかくフランシスは端麗な顔を表情で飾ることもせずいる。
「嫌になったわけじゃない、ただね......なんか」
「はっきりしろヘタレ二号機」
「じゃあさ、おまえは嫌?」
フランシスの視線が、アーサーを捉えた。真面目な話をするときはいつもこうだ。この男は存外相手の目を見て話すのだ。そんなキャラじゃないくせに。そういうところが嫌になる。
「......嫌じゃねえよ。今更なんだよ」
「ずっとこうでいるのかなあって。いつかは終えるのかな。俺、人間以外でセフレつくったの初めてなのよ」
「俺だってそうだわ」
「人間はあっという間に死んでいくじゃない。死ななくても俺らは人間の近くに長くいられないし」
アーサーはフランシスに焦がれていた。フランシスが忘れているこの関係の始まりだって、房事中に与えてくれた言葉だって覚えていた。終わりが見えないことが嬉しかった。相手があと何度自分を貪り、見てくれるのか計れないことに感謝した。人間というのは不便だと、フランシスのかつてのセフレを嗤った。
【未完】
【寒さが身に染みて】
1月のロンドン郊外、22時。
冬に特に厳しい寒さに見舞われることのないこの街でも、明かりがぽつぽつと消えゆく時間帯には、雰囲気のせいか少しばかり冷たい空気に覆われることを覚える。
呼吸をすれば副流煙のような白い息が体をくゆらす。
アーサーは忙しなく動く街を、自分の家を何の気なしに眺めながら歩を進める。
【未完】