【君と一緒に】※フラアサ
大体1000年前くらいのことだろうか。
世界が滅亡する、なんて根も葉もない噂が欧州の一部に広がった。それを真に受けた幼いフランシスは己のしてきた数々の醜行を思い出しては、自分は間違いなく地獄行きだと悟った。
だからせめて、ずっと欲しかったものでも抱えて最後を迎えてやろうとした。
結局何も起こらずに時は過ぎ、また1000年を刻んだ。
「懐かしいねえ。世界が滅亡する、だって」
「どこの国でもあるもんなんだなあ。全くそんなもの冷静に考えりゃわかるはずもないんだ」
フランシスのとこのノストラダムスの大予言だかが、今本田の家で相当な話題になっているらしい。本田が話していたことに、昔の自分達を思い出した。
フランシスとアーサーはずっとずっと前に同じような噂に翻弄された。アーサーはフランシスに後ろから抱き抱えられるようにして、最後の時を待った。
「ねえ、例えば本当に明日地球が滅亡するなんて言われたらどうする?お前は」
アーサーに視線を向けることもせずフランシスは問う。
「......そうだなあ、もうお前と心中はしたくねえな」
「俺も。どうかしてたわ、あの時は」
【未完】
【幸せとは】※フラアサ
誰かが言っていた。その答えが出てこないことが幸せという状態なのだと。でもそれは、人間にとっての話なのだ。
国である彼らにとっての幸せとは何だろうか。
小さくても構わないから、安泰がほしい。どんな犠牲も厭わないから、繁栄したい。
フランシスもアーサーも、数百年前のことだが、幸せという名の優越を求めて海に出た。いくつもの海を駆け、争いは絶えず、時には失うものの方が多かったこともあるが、確かに自分の家は栄えた。
雨が弾丸のように地を叩く日だった。マスケットの重い銃身は泥に沈み込むように佇む。拾う者はいない。幸せを追い求めた先の景色だった。ある者の幸せを構成した人々は、ついに自分達の幸せを追い求め蜂起した。ある者の不幸せが自分にとっての幸せな者がいた。ある者を不幸せにするため、喜び勇んで奔走した。
【未完】
【今年の抱負】※フラアサ
--今年はどう過ごそうか。
腐れ縁はアーサーの目の前のソファーに腰をおろした。
昨日、一時間の時差をもってそれぞれの国で新年を迎えた。
年甲斐もなくというわけではないが、永いこと生きてきた「国」達にとっても、年を越すというのは未だ不思議と心が踊るものらしい。
夜空に打ち上がる花火に白い息を漏らす者、皿をドアにぶん投げて割る者、鐘の音に合わせひたすら葡萄を食べる者。過ごし方は各々の習慣や伝統によるが、世界のいずれもの国が新たな年の訪れを祝った。
「どう過ごそうって、何がだ?何かあったか、今年......あぁ、お前んちではオリンピックだな」
「ん、いや。別にどうとかはないけどさ。オリンピックもそうだけど、何かない?今年したいこととか」
したいこと、叶えたいこと。そんなもの掃いて捨てるあるはずなのに、いざ聞かれると何を答えるべきか詰まるものだ。ブレグジットのことなんかいまなお度々話題にあがるし、自国のみで取り組むわけではない課題も山積みである。
「国としての話はどうせどっかで聞くことになるし、おまえ個人として」
フランシスの柔らかな声に、時間もゆっくりと流れるような感覚を覚える。
【未完】
【1年を振り返る】
今日は作品じゃなくて整理がてらに自分のことでも書いてみようと思う。
今年も推しカプが可愛かった。ただそれに尽きる。
推しカプに全力で生きた。
1月、2月、記憶がない。
3月、初めての飛行機に乗って台湾に行った。麺がおいしかった。
あと大磯。明治総理の家いっぱいあって楽しかった。
4月、推しカプの記念日と始業式が重なった。推しカプめでたさと憂鬱さでプラマイゼロ。
5月、記憶がない。
6月、推しカプがプロポーズした。よくあること(ない)。三度目です。
推しカプ絵師伝いで知ったソシャゲを始めた。無事ハマった。ジョージかわいい。
7月、推しカプの攻めの誕生日。四桁なので正しい歳は誰も分からないし正確な誕生日ですらないけど、おめでたい。受けの誕生日はない。
8月、推しカプの攻め受けがそれぞれ住んでる国に行った。フランスとイギリス。どっちもめちゃくちゃ楽しかった。モン・サン・ミッシェルが見れなかったのが心残り。広島にも行った。街の雰囲気が素敵だった。
9月、記憶がない。
10月、体育祭。実行委員をした。8月から二度延期。
11月、記憶がない。
12月、機会があって古銃に触った。エンフィールド銃。重かった。2、3番を争うくらい好きな銃だから嬉しかった。
今年もいい年だった。
-----もう冬休みだねえ
フランシスは窓の外の銀世界を見つめながらひとりごちた。
副会長と会長だけが残った生徒会室もすっかり冷えきり、会長--アーサーがパソコンを打つ指先はかじかんでいる。
暖房でもつければいいものを、ふたりきりなのに使うのはもったいないだのなんだのと、ふたりしてリモコンには手を伸ばそうとしない。
寒い寒いと誤魔化すようにのたまいながらフランシスは時折アーサーの手を包むように取る。
「早いわー。ねぇ、アーサー。冬休み予定ないって言ってたよね」
「あぁ言ったぞ」
「ならさ、その......俺とデートでもしようよ」
3月までの生徒会予定表を作成していた手を止め、アーサーはフランシスの方を見る。
未完