【今年の抱負】※フラアサ
--今年はどう過ごそうか。
腐れ縁はアーサーの目の前のソファーに腰をおろした。
昨日、一時間の時差をもってそれぞれの国で新年を迎えた。
年甲斐もなくというわけではないが、永いこと生きてきた「国」達にとっても、年を越すというのは未だ不思議と心が踊るものらしい。
夜空に打ち上がる花火に白い息を漏らす者、皿をドアにぶん投げて割る者、鐘の音に合わせひたすら葡萄を食べる者。過ごし方は各々の習慣や伝統によるが、世界のいずれもの国が新たな年の訪れを祝った。
「どう過ごそうって、何がだ?何かあったか、今年......あぁ、お前んちではオリンピックだな」
「ん、いや。別にどうとかはないけどさ。オリンピックもそうだけど、何かない?今年したいこととか」
したいこと、叶えたいこと。そんなもの掃いて捨てるあるはずなのに、いざ聞かれると何を答えるべきか詰まるものだ。ブレグジットのことなんかいまなお度々話題にあがるし、自国のみで取り組むわけではない課題も山積みである。
「国としての話はどうせどっかで聞くことになるし、おまえ個人として」
フランシスの柔らかな声に、時間もゆっくりと流れるような感覚を覚える。
【未完】
1/2/2024, 1:36:56 PM