眩しくて
君はいつも輝いていた
私にはそう見えてたよ
みんなに可愛い子ぶって涙を流して
構って貰えて心配して貰えるなんて
「可哀想なわたし」が大好きなんてさ
眩しいよ
そんな風に好きになれたらね
でも私はそんな君が好きだったよ
憧れだったんだもん。憎悪に変わるなんて
思わなかったもん。ましてや殺意なんてさ
眩しい。眩しいんだよ。
目が痛いの。邪魔なんだよ。
眩しくて仕方ないの。
光なんていらないの
私は光の中にはいけない
だってもう未来なんてないんだから――
飛べ
私は飛べない翼を持っている。その翼に飛ぶ事を望んだ事も夢見た事も無い。
「だってどうせ飛べないもの」
諦めながら路地を歩いていると1羽の鳥が
私と同様飛べない翼を持っていた。唯一
違うのは幼稚な所だろうか。鳥はずっと
飛ぼうと翼を羽ばたかせる。
(さっさと諦めた方が辛くないのに…。)
最初はそう思っていたけど次第に私の心も
子供のように野心を帯びた。
飛べ 飛べ 飛べ
その醜い翼に私は願った。まるで自分の羽に
語りかけるように。
「飛べッッ!」
強く願いをぶつけると、1羽の鳥は別世界に
羽ばたいていった。
(私も、飛びたかったな)
もう飛び方も忘れてしまったよ――
願い事
色とりどりの短冊が
笹の葉と共に揺れている
生ぬるい風が吹き
たくさんの願いが飛んでいく
このまま天ノ川まで届くといいな
紅色の短冊に書いた願いを何度も思い出し
ながら羽ばたく短冊を眺める
もう少し梅雨が続きますように――
「…急に暑くなっても困るからね。」
願いは案外安っぽいものだ
7月6日
お題:空恋
波音に耳を澄ませて
静寂な夜に、まるで自分しか存在していない
かのように思える暗い海岸で、
私は波音に耳を澄ませていた。
この夜に生きているのは私だけ――
自分と2人きりの孤独に、ある歌声が響いた。
ふと立ち上がり海の境界線をじっと
眺める。その歌声は海の中からやってきていた。
歌声は真珠のように煌めいていて
波風のように自由に生きている。
私はその歌声をただの空耳では無く、
特別にしたくて名前をつけた。
「人魚の歌声」と――
ほら、波音に耳を澄ませて
あなたにも聞こえるかもしれない
静寂の中で歌う人魚の声が――