約束だよ
「ずっと一緒にいようね!約束だよ!」
こんな分かりやすい綺麗事を私はどうして
信じてしまったんだろう…
いつ破られるかも分からない約束
「1人じゃないから」と糧にした
その約束が果たされないものになったとき
どれ程の苦痛と呪いを追うのかも知らずに
「ずっとなんて…軽はずみに言わないでよ、」
約束が果たせなくなった時、その嘘を信じた
自分を恨むことはできなかった。私に夢を見せた誰かのせいにしたかった。
「約束だよ」
そんな言葉はまるで呪いみたいに頭に残る。
心を蝕み不信を誘う悪魔の呪い。約束だといった君はこれから先私を1人にしたいのだろうか。
でももう1人じゃない
私は破れた約束をまた結んでみせる
ずっと一緒にいようね…約束だよ――
傘の中の秘密
冷たい針が降り注ぐ梅雨時の帰り道。
傘の上で弾き踊る雨粒がポツポツと音を立てる。
雨の振らない傘の下で1粒情熱を帯びた雨が降る。
誰にも見られないように傘をしっかり握りしめて
現実から目を背ける様に俯いて大雨を降らせる。
伝い落ちるこの情熱は周囲には秘密にした。
強がって、諦めたなんて未熟な結末は誰にも
知られないようにそっと涙に込めて沈めた。
傘の中の孤独な秘密。雨に飲まれ消えてゆく
のに、まだ私の中で燃えている。
いつか燃え尽きる灰だけを求めて、
私は私に秘密を約束した――
傘の中の秘密
ただ君だけ
竜胆色の空模様を見つめていた。
その空模様と君に接点なんて無いのに、
どうして君を思ってしまうのだろう。
穏やかな風と共に時間が流れてゆく。
なのに僕の心はそんな風と平行に並んでいない。
風の平行線を超えて、胸を高鳴らせた。
ただ君だけを求めた。
でも君は同じ色の空の下を生きているのに
君の心は僕の色を失ってゆく。
後付けのように交わすキスは「サヨナラ」を
合図しているようで涙が溢れそうになる。
ただ君だけが欲しかった。
他じゃ満たせない愛を君に満たして欲しかった。
今日もまた君とキスを交わす。
僕の恋は続いているのに、まるでエンドロールも
過ぎてしまった気分だった。
ただ君だけは、新しい物語が始まったようだ――
夢を描け
簡単な道程美しく見える私にとって
夢は季節のように移り変わっていくものだった。
「絶対に叶えたい」
そう思って情熱に溢れていたのに
気づけば叶えたい理由さえも忘れてしまった。
夢が夢に塗り潰される毎日が段々と変わった。
夢が白紙に塗り潰されてしまった。何一つ描け
なくなってしまった。鉛筆を落としたまま、
消ゴムを握り締めて、白紙に色が落ちれば
見つめるだけで消してしまっていた。
「どうせ無理だ」
この一言が私の鉛筆を踏みつけた。
ある日、夢の無い白紙をじっと見つめてみた。
すると白紙だった紙が色鮮やかに染まっていた。
諦められたと思っていた。でも夢と言うものは
諦められるものでは無かったのだ。
私は折れた鉛筆でその色をなぞった。
そして色鉛筆で夢を描き、消ゴムで
こすったって消えないように。
夢を描け――