波音に耳を澄ませて
静寂な夜に、まるで自分しか存在していない
かのように思える暗い海岸で、
私は波音に耳を澄ませていた。
この夜に生きているのは私だけ――
自分と2人きりの孤独に、ある歌声が響いた。
ふと立ち上がり海の境界線をじっと
眺める。その歌声は海の中からやってきていた。
歌声は真珠のように煌めいていて
波風のように自由に生きている。
私はその歌声をただの空耳では無く、
特別にしたくて名前をつけた。
「人魚の歌声」と――
ほら、波音に耳を澄ませて
あなたにも聞こえるかもしれない
静寂の中で歌う人魚の声が――
7/5/2025, 10:44:16 AM