青い風
私と君の隙間でなびく
春の青い風は
焦がれるような熱さで
甘酸っぱい香りを漂わす
永久へ吹く青い風に乗って
君のもとへとたどり着けば
君も青い風に吹かれている
私は巡り巡る青春の日々の中で
愛言葉の風送りを続ける
時に追い風を受けて君の愛を
感じながら青い風を吹かせた
私に幸せを運んでくれた青い風
伸びた髪をからかって私は目を覚ます
夢オチに呆れる私の前に青い風が吹き抜けて
君の熱に焦がれた――
クリスタル
海辺に転がる水晶玉は日の光に照らされて
虹色に光っている。私は水晶玉を拾い上げて、
手の内で転がす。
右から見ると青々とした光が、
左から見ると黄金色が煌めく。
その青さに海の潮風を感じて
その黄金にひまわりが咲く。
ひとときの夏を閉じ込めた水晶玉。
葉月を彩る真夏のクリスタルだ――
最後の声
「……生きて…頑張って生きてね」
彼女の最期の声が僕の心を縛り付ける。
生きる呪いをかけられ、僕は独りになった。
「死にたい!彼女に…会いたい。」
そう苦し紛れに叫んでも彼女の呪いが
今日も僕を生かしている。
なんて残酷な呪いだろう。
辛いって一言だけで辛さを表せない時。
死にたいと言う一言でしか辛さを表せない。
だから僕は毎日死にたいと叫んだ。
でも心はどこか違っているようで、
「生きたい…君と生きたい!」そう叫んでいた。
そんな心が1本の糸を切った。
辛いって一言だけで辛さを表せない時。
死にたいと言う一言でしか辛さを表せない時。
そしてもう限界が来た時。最後の声が轟いた。
「君と…生きたかった。」
呪いを解く魔法の言葉―――
もしも君が
もしも君が生きていたなら
私は君のためになんだってできた
「…だから生き返らせろと?」
現実はそう私の心を突き刺すように聞いてきた。
あぁそうだ。返してくれ。
喉が枯れるほどそう叫んだ。
でも「もしも」なんて叶わない時に使うもの
なのだと知った。静まり返った彼女の胸は、
もう鼓動を知らなくて。再び目を開けることは
無かった。
もしも君が…
叶わないなら無駄か...
どうしてこの世界は
どうしてこの世界は薄汚く愚かな人ばかり
なのに、生きたいと思わせることができるのだろ
この世界のことは「恨んでる」なんて4文字で
表しきれない程大嫌いだ
でもなぜか惹き付けられてしまう
この世界を離れた者、旅立った者
やっと醜いこの世界からでることができたのに
祝福することができない。むしろ可哀想に感じた
もしこの世界から引き離されそうになったとき
私は迷わず「生きたい」と願うだろう
どうしてこの世界は
私を虜にするのだろう――