頭空っぽにして読め

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5/20/2023, 2:15:21 PM

「理想のあなた、だって。なんかある?理想」

白い世界に色を塗ろうと、筆を動かしていた彼女は聞く。

「あるよ~そりゃぁさぁ、誰だってさ、誰かしらに夢見るもんだからねぇ」

同じく、筆を動かしていた彼女は答える。

「ま、そうよな」

「言ってみる?色んな人の“理想のあなた”」

「じゃ、僕が最初なー。んーやっぱ、定番のアイドルとか?なんかさー知らねぇ人によく、夢見られてない?」

「それが仕事やけんな。仕方ねぇ、仕方ねぇ」

次の色をと、パレットに手を伸ばしながら話す。 

「次、私か。警察官とかもよね。警察官みんな真面目で正義感強い、とか思われてるじゃん」

「警察官でも事件起こす奴は起こすよな」

それなー!と元気に同意し、彼女は白い地面に色を着ける。

「あれやね。こうやって言ってみてると、どんだけ僕らが周りに理想押しつけてるのかわかるね。」

「あの職業の人はこんなやろ、とかあんなやろ、とかねー」

「あ、待って。理想やなくて、イメージかも。」

「ややこしいから、理想ってことで」

彼女達は、世界に少し色を着けると立ち上がり、どこかへと消えていった。

5/16/2023, 3:02:15 PM

「僕のためになんでも出来ちゃうの?」

「そっすね。はい。愛の力でやってやりますわ」

「きゃー!頼もしー!」

信じていないという様子の君。
でも、私は本当に何でも出来るよ。君が欲しいといった物はなんでもあげちゃう。君がキライといった人は、みんなの君から遠ざけちゃう。君がもし、もし私に死ねといったら死ねてしまう。
そのくらい君を愛してる。

5/15/2023, 1:02:43 PM

「あのね、私ずっと君に謝らなきゃいけないことがあったんだ。」

目の前の君は、椅子の上でたいそう座りをしていた。

「君がね、君の親に殴られてること知ってたよ。なのにね、私なにも行動を起こさなかったの。本当に、」

本当に悪いと思っている。けどそう言ったところで、君は許してはくれないだろう。優しい君でも、これは許してはくれないだろう。なんだかそんな気がした。

「…ごめん」

ぐるりと彼女がこちらを見た。
嗚呼、その顔。その顔は、君が二度と口を開かなくなる前の日に、私に見せた顔だ。
愛らしく、怖い。私以外は知らない君の笑顔。
段々、その顔が歪んでゆく。目は黒く染まり、口からボタボタと腐った汁が流れ落ちた。

ごめんなさい

5/14/2023, 3:43:37 PM

初めて見た世界は白かった。
次に見た世界は灰色で、酷い物だった。
その次に見た世界はまた、白かった。
そして今見ている世界は綺麗だった。
青い空に、白い雲。緑のキレイな草に、小さな魚の泳ぐ川。控えめに吹いている風が心地良い。

「ははっ、なんだろうね。今なら僕、空とか飛べちゃいそう」

スキップをすれば、想像していたよりも軽やかに跳べる。
少し助走をつけて、思いっきり跳ぶ。楽しい。
今までの狂った世界とは大違い。
このままどこまでも、跳んでいけそうだ。
しばらく風向きに沿って跳んでいた。
跳んでいる間は、なんだか少し救われたような気がした。

5/13/2023, 2:27:49 PM

『おうち時間でやりたいこと』

そうさねぇ。私は大好きなあの子への思いを記録して過ごしてるよ。記録したそれを、たまに知らない誰かに見せるんだ。ネットを使ってね。
見せる意味あるかって?特にないねぇ。見せたところで彼女の良いところが世間に少し、広まるだけだ。他には確か、大好きなあの子の描いた絵を見てたりするね。あの子、絵が上手いんだよ。たまに見せてくれたり、プレゼントしてくれるんだ。他には、あの子の写真を見てみたり。あれ、おかしいな。全部あの子にかんする事しかしてないや。
私のおうち時間にまで、影響を与えてくるなんて。
罪な女ねぇ。君は。

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