失恋
失恋した日は辛く涙が止まらない。どうしてあんな人に惹かれたのかわからなくなる。そんな日が数日続く。気持ちが落ち着いて男友達に電話をかける。その男友達はあなたが話し終わるまでだまって話を聞いてくれる。そして最後に男友達は言った。「今から会える」と「行ける」と言うと男友達は「バイクでドライブしようぜ」と言った。元気付けるためかと思い「いいよ」と返事をする。男友達は私を乗せて道路を走っていた。そこには運悪く元カレが別の女と手を繋いで歩いていた。新しい女できたのかよ。と考えていると男友達は「前だけ見てろ」と言ってくれた。私が「ありがとう」と言うと男友達は「あいつじゃなくて俺と付き合えば良かったのに」と言ったが、私には聞こえなかった。「何聞こえない」と言うと「なんでもないよ」と返されたので私はまた前を向いた。このきれいな景色に見とれながら。
梅雨
俺は梅雨の雨が嫌いだった。あいつが死んだ日も梅雨の大雨が降っていた。車がスリップして横断歩道を渡ろうとしていた子供をかばって死んだ。俺はそれを聞いて「あいつらしい」と思った。毎年あいつが助けた子供の親が家にお供えを持ってくる。いつも涙ぐみながら謝る。この頃子供が言葉を理解してきて片言の言葉で「ごめんなちゃい」と言う。あいつはあの日婦人科に行った。あと2ヶ月で子供が生まれるというところだった。あいつが新しい命を授かったとき俺は泣くほど喜んだ。そのことを思い出すと俺は食事が取れないほど泣いてしまう。あいつと「子供の名前は香菜にしようね」と話していたのにどんなにわめいてもあいつも子供も帰ってこないってわかっているのに。
終わりなき旅
あなたとの恋は私にとって終わりのない旅のようだった。ゴールに来れたと思ってもまた次のゴールができる。どんなに届かないところでも手をのばしてしまう。どんなに苦しい道でも頑張ればできると思って向かってしまう。あなたとの終わりなき旅の終わりはあなたと幸せに死ぬことだ。どうか私の終わりなき旅をあなたが終わらせてくれないか?
「ごめんね」
この世界には「ごめんね」という言葉が山ほどあるその中の一つの「ごめんね」は彼が俺に向かって言った言葉だ。俺の恋愛対象は男だった。俺が気になった彼は女顔負けの美貌を持ち合わせた人物だった。俺が告白したとき彼は「俺でいいの」と聞いてきた。俺は「君でいいんだよ」と少し頼りない声でいった。その1年後彼はこの世を去った。遺書には「ごめんね」としか書かれてなかった。でも俺はその頼りなさそうな字がうれしく感じた。最後の彼の遺書の中の言葉が「ごめんね」で少しさみしかったが、「俺達は前を向いて生きていかなければいけない。」彼が言った最後の言葉を俺は胸に抱いて歩き出した。
半袖
私は半袖が嫌いだ。理由はたくさんある。でもその中で1番は母親から虐待を受けていたときにできたアザだった。ひどいものは黒く変色していて誰にも見せられないような状態だった。だから私はいつも半袖の上にカーディガンを羽織っている。どんなに隠したって見られてしまうようなアザを私は今日も必死に隠す。母親に殺されないために。