「今頃何しているんだろう」と窓から星空を眺め、タバコを燻らしながらギターをつまびく。
「メールが来てるかな?」とケータイを手に取り、センター問い合わせをする。
「日記書いてるかな?」とmixiを開く。
LINEのトークを開いて入力しては消去を繰り返す。
30年の時が流れ、やってる事が変わっても、考えるのはいつも君のこと。
これが僕の眠りにつく前に行うルーチンの変遷。
〜眠りにつく前に〜
「僕は一番近い異性の親友だよ」
言ってしまった。
君に2回目に振られた少し後、言ってしまった。
君が好きだから。
君の全てを僕のものにしたいから。
今思えば、我ながら幼い考えだった。
君の近くにいたいがために、君の隣の席に座る可能性を自ら手放した。
今まで通りの名もない、親友の1人のままなら。
ほんの少しだけど可能性はあったのに。
これで僕が、彼女の隣に座ることは永遠になくなってしまった。
〜永遠に〜
「昔に戻りたい」
君がポツリと漏らした一言。
昔は楽しかったね。
特に何があった訳ではないけど、毎日が輝いていた。
大人になった僕たちは、現実を目の当たりにし、
だんだんとあの頃の輝きを失ってきた。
今はしんどいけど、もう一度手を取り合おう。
自分の輝きを取り戻すことは大変だけど、
相手の輝きは取り戻せるから。
お互いに輝きを取り戻したとき、
あの頃のような楽しい毎日が過ごせるから。
ひたすら笑って、泣いて、お互いに遠慮なく、
自然体で過ごせたあの時のように。
そして、思い出の場所でまた会おう。
そこは僕らの理想郷。
〜理想郷〜
秋冬の夜空は思い出がたくさん詰まっている。
文化祭の準備で夜遅くまで学校に残った時に、
親友たちと屋上で見上げた秋の夜空。
その打ち上げ悪友とビール片手に歩いた秋の夜空。
バンドの練習の後にメンバーと見た冬の夜空。
君と2人でオリオン座を見た冬の夜空。
どれも懐かしく思うこと。
〜懐かしく思うこと〜
「あの時あなたと付き合ってたら、今こうして会ってないかもね」
君はイタズラな笑顔で、僕に問いかける。
これだよ。
この笑顔が好きなんだ。
そして、それが僕の思考を狂わせて、語彙力を低下させる。
「わかんないよ。そのまま結婚して、仲の良い夫婦やってるかもよ」
ブラックのアイスコーヒーをかき混ぜながら、やっと見つけた答えを返した。
「そうかー。…。そうかもね」
少し間がある、君の答えが気になった。
「きっとそうだよ。だって、あれからかなりの時が流れたのに、こうしてまた会えたんだから」
あぁ、またやられてしまった。
いつもこうやって、君の手のひらの上で転がされる。
君と僕の関係は、いつでも主導権は君だ。
それはきっと、あの時付き合ってたらって言う、
もう一つの物語でも同じだろう。
〜もう一つの物語〜