「あの時あなたと付き合ってたら、今こうして会ってないかもね」
君はイタズラな笑顔で、僕に問いかける。
これだよ。
この笑顔が好きなんだ。
そして、それが僕の思考を狂わせて、語彙力を低下させる。
「わかんないよ。そのまま結婚して、仲の良い夫婦やってるかもよ」
ブラックのアイスコーヒーをかき混ぜながら、やっと見つけた答えを返した。
「そうかー。…。そうかもね」
少し間がある、君の答えが気になった。
「きっとそうだよ。だって、あれからかなりの時が流れたのに、こうしてまた会えたんだから」
あぁ、またやられてしまった。
いつもこうやって、君の手のひらの上で転がされる。
君と僕の関係は、いつでも主導権は君だ。
それはきっと、あの時付き合ってたらって言う、
もう一つの物語でも同じだろう。
〜もう一つの物語〜
10/29/2022, 12:53:52 PM