行灯

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11/16/2023, 4:38:12 AM

お久しぶりです。本日は、お題を無視しての投稿になります。申し訳ありません。
とある書きかけのシナリオの冒頭を。必ず書ききるという意志の元、こちらにあげさせていただきます。






君の答えは、言葉を選ばないのなら、どうでも良いのだ。
私は人に何かを問えるほど、高い椅子に座ってはいない。どころか、自分だって答えあぐねているのだ。どうして正解を知ったような顔で、微笑めようというのか。
だから、回答なんてしなくていい。

ただ、ほんの少しだけ。想いを巡らせて欲しかった。
君が見ているつもりで見ていない何か。
君が誰にも見せてもらえなかった何か。

疲れるだろう。面倒くさいだろう。
そうして深く、傷付くかもしれない。

私は君を、どうしようもないほどに傷付けるかもしれない。

それでも、透いた濁った、紛れもない君の頭で、想像して欲しかった。充分にあり得る『かもしれない』噺を、一つ、君に届けたかった。

見下げればきっと容易く、想い描ける筈だ。
それは君が、気付きたくなかったと嘯く君が、端から全て、知っていたから。


責めるわけでは決してない。そんなことはできやしない。

だがどうか、どうか君が少しばかり、弱く在ってくれと。私は願って止まないのだ。


……斯くあれと、焦がれども。

6/27/2023, 5:57:39 PM

 けたたましいアラームは、鳴らなかった。ことにした。朝を告げられても困るのだ。こちとら絶賛、布団に求愛中である。
 だが、欠勤がつくのはもっと困る。夢心地でもお腹は満たされないのだ。苛つき故の緩慢さで、今日ものそのそ起き出した。

 義務と言うより必要性。現代社会を生きる人達に必要なもの。……というか、現代社会を生きる私に必要なもの。いいじゃない、『私だけ〜』なんて思うより、主語大きくして周りも勝手に真っ黒にして、悦に入ればまだ頑張れるのだから。
 全く、性格が悪い。おまけに夢も希望もない。……まあ、それでも生きていけるんです。悲しいことに。
 朝から哲学もどき、語ってみても時計は進む。あれよあれよと言う間に、ああ電車の時間。すっかりくたびれたオフィスカジュアルに袖を通して、……今日の帰りにファストファッションブランドを漁ると決めて、取り敢えず、底の擦れたパンプスを鳴らした。
 焦っていても遅刻はしない。何回この道を通ったと思っているのだ。変わり映えのない日常は、つまらないけれど平穏だ。
 ……いや、訂正。いらない方向に変わることもある。月末からバスの運賃が上がるらしい。オーマイゴッド、ワン・モア・コイン。

 世の中は、つまらないうえに世知辛い。




 「……あ、新作」

 家から職場までの道のりに、少し大きなショッピングモールがある。外道沿いに作られた客寄せパンダな映画館の、でかでかと張り出されたポスターには、著名な監督のアニメ映画があった。
 中身としては、目新しさはあるけれど、ようは少年少女の、数日間の不思議な体験である。
 昔は、好きだった。よく覚えているものだ。『どうして好きだったのか』。ひょっとして、に期待ができた、とてもとても純粋な感情たち。なくなったわけではないけれど、それ程大きなエネルギーを生み出さなくなった感情たち。
 よく、覚えているくせに。
 今朝は憂鬱なため息一つ、生み出すことしかしなかった。



 ……時折、思うのだ。目に付く、ドアというドアを全て、開け放ってやろうか、と。
 そうしたら、その内の一つくらいは、ファンタジーな何かに繋がっているのではないか。
 そうしたら、決して行けない世界に焦がれることもなく、こんなに惨めな思いをしなくても済むのではないか。


 ――それは探究心でなくて、逃避である。

 
 誰に言われたのか、自分で言い聞かせたのか。いずれにしても、そうニヒルに嗤った瞬間から、感動が冷めるまで時間が、圧倒的に短くなった。
 そうして冷めて、哀しくなった。
 気付いてしまった。簡単なのだ。泣くより笑うより、ただ口角を吊り上げるほうが。よっぽど疲れず、何時でもできる。ほら、これが大人になるってことなのよ。そんな風に言う時だって、やっぱり嫌味な顔で、笑ってる。

 ああ。



 「…………うっっせぇぇ!!!」

 
 逃避? いいだろ別に。
 そうです鬱々鬱々皆暗いから!
 たまにはそんなの全部忘れて息抜きしたいんですぅ!

 好きだよ。今でも大好きだよ。ぐちぐちこうやって考えるけど、ああ畜生、泣いちまったって、なんか負けた気になりながら、八つ当たりするんだよ。

 すぐ『覚める』かもしれないけど。
 虚しくなるかもしれないけど。

 それでも、こんな自分を、どこかへ連れて行ってくれるから。コンマ一瞬、だけど確かに、ここではない何処かへ、私が行けるから。


 ……やめた、やめた。服なんてまた今度。頼まれても今日は絶対定時で上がって、ここに来て。

 終わったら、ビールとポテチを買って、見知った家に帰ることにしよう。冷めるまでの、知らない感情をひきずって、帰ることに、しよう。


【ここではないどこか】

6/26/2023, 11:13:40 AM

 6月21日(日)

 殴り書かれたのは日付だけ。書いた当人からしたら、充分だった。

 雨の日だった。纏わりつく湿り気と停滞した空気があった。純然たる、6月だった。……人生が大きく変わった日? どうだか、それは終わってみないと分からない。
 そんな自覚は、今のところは微塵もない。

 好意はあったかもしれない。かもしれない、と思う程度にはどうでもいい人だった。
 小雨の中に傘をささずに出ていく人は、珍しくもなくて。それでも彼女が傘をさしていなかったのは、明確な理由があるのだろうか。
 隣の人は、嫌に彩度の高い、真紅の傘を掲げていた。それすらも、梅雨の空にはくすんで見えた。

 もう顔も思い出せない。すれ違っても、きっと分からない。ごくありふれた、別れの日。



   
 ……どうして、そんな日を記録したのだろう。




 6月21日(日)

 ただの記号の羅列は、大切にしまい込んだ他のどんな写真より、記憶の欠片を鮮明に写した。


【君と最後に会った日】

5/9/2023, 12:06:30 AM


 再開を約束する言葉は気分じゃない。
 成長を期待するには短すぎるだろう?

 ……。

 そんな半端な時間で、お前は一体何を成すって?



 【一年後】

4/14/2023, 11:39:12 AM

 今日がずっと続けばいい。
 早く明日になったらいい。
 一歩も家から出たくない。
 世界中を見てまわりたい。
 ずっと一人で佇んでたい。
 友人の元へ駆け出したい。
 沢山の物を焼き付けたい。
 目をふさいでしまいたい。
 なにも聞き逃したくない。
 音の一つも聞きたくない。

 支離滅裂、支離滅裂。天邪鬼でさえない。

 傲慢で、強欲で、陽気で、陰気で、もう、めちゃくちゃ。何を言っているか、思っているか、それすらも分からなくなるくらいにぐちゃぐちゃで。でもね。

 私なんです。全部全部私なんです。

 どうか、どうか、一つたりとも違わずに。認めてくれはしませんか。

【神様へ】

麦粉の垢は引き継げませんでした。続けたり続けなかったりしていきます。

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