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1/19/2026, 7:21:30 AM

 君と連絡が取れなくなった。家に行ってみると、部屋はいつも通りで、変わったようすはなかった。机の上を見てみると、厚めのノートのようなものがあった。

 しっかりした表紙に日記と書いてある。中を見るか少し躊躇したが、思い切って開いてみた。小さな几帳面な字で、丁寧に記入されている。淡々と毎日の行動だけが記されていた。

 何時に起きて、仕事、夕飯、就寝。ほぼ毎日同じようなことが続いている。パラパラとめくって、君と連絡が取れなくなったページを探した。

 ドキドキしながらめくると、そこには、今までとは違う大きな文字で〝やめた! 〆〟とだけ書いてあった。〆? よく見ると、そのページの下のほうに、小さく→と矢印が書いてある。

 次のページを見ると〝旅行中〟と書いてあった。あ、そうなの? 思わず声がでる。日記を閉じながら、少しほっとしていた。


「閉ざされた日記」

1/18/2026, 7:24:10 AM

 地面に落ちた枯葉がくるくると舞い上がるほど風が強い。耳元を過ぎる風がびゅーっと音をたてている。思わず、コートの首元をしっかりしめて、マフラーを上からかぶせる。

 後から色々思ってしまう。人との関わりに、思い悩むことがある。もっとこうすればとか、こう言えば良かったとか。そう、言い方かな。風のように自然に流れていくような感じがいいのだ。

 うまくいかなかったことも、もう過ぎてしまった。またの時に考えたらいいか。こんな小悩みは、この風のように吹き飛ばしてしまおう。

 今日の風は、木枯らし1号だったらしい。

「木枯らし」

1/17/2026, 9:44:26 AM

 最近、寝付きが悪い日がある。以前はいつも、横になったらストンと眠っていたのに。眠れない日は、夜の闇が何となく落ち着かない。目をつぶっていても、得体のしれない焦りがわいてくる。

 ふっと目が覚める。いつのまにか少し眠っていた。朝の光が入るように、カーテンの端を少し開けていた。まっすぐな光が差し込んでいる。ゆるゆると体を起こして、カーテンを開けた。

 突き抜けるような空の水色が見える。冬の空はすこーんと高く、どこまでも澄んだ水色だ。
あぁ、美しい。今日も新しい一日がはじまる。


「美しい」

1/16/2026, 8:28:27 AM

 街を歩いていると、今日は妙にぼんやりしている。普通にしていると分かりにくいけれど、踏切を渡る時、横を向いて線路の先を見てみると、よく分かった。

 奥のほうがもやっとしている。夕方の日差しをバックに、もやもやとクリーム色のベールがかかっているように見える。

 たくさんの人が歩いている。自転車が通りすぎる。話しながら歩く人もいる。街はいつも通り活動的なのに、静かだ。音がないわけではない。

 音の層が平坦な気がする。ぼんやり一定のトーンの中に閉じ込められたようだ。やわらかいゼリーのようなものに包まれたところを歩く人たち。

 この人たちは、私が見えているのだろうか? はっとする。この世界はなんなのだろう。


「この世界は」

1/15/2026, 8:39:42 AM

 そう聞けたなら、よかったのに。もっと気軽に、気ままに聞いていればよかった。そうできなかったから、ややこしくなった。
 
 少しのすれ違いが、積み重なってどんどんずれ続けて、誤解が生まれたりした。これではいけないと分かっていたけれど、いざとなったら勇気がなくて聞けなかった。

 なんだか自分に自信がなかったのだ。自分がとってもちっぽけでダメに見えて、まったくカッコ悪かった。すれ違ったまま、いつのまにか一緒にいなくなっていた。

「どうして」と聞いてみればよかったのだ。もっと気軽に色々聞いてみればよかったんだ。


「どうして」

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