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10/31/2025, 8:17:52 AM

 あなたは、今もこの道でがんばっていると思っている? 新しい道へ行くと言って、離れていったのだから。
 
 すごくやりがいがあって楽しかった。でも、無理をし過ぎて、もう見るのも嫌になってしまった。それからは、まったく違うことをした。頭の片隅には、置いてきてしまった思いがずっとあった。

 ほかのことを始めてみても、なんだかんだでその道はよく進まなくなった。不思議なくらい弊害がきた。きっと心の奥底では、そのことを本当にしたいと思ってないのだ。やらなくてはと義務的に思っているだけなのかもしれない。

 また、心の片隅に追いやっていたことを始めてみようと思った。うまくいこうといくまいと、心の底から楽しんでいたい。
 
 そして、あなたにまた会うことがあったら、続けているよと笑顔で伝えたい。


「そして、」

10/30/2025, 7:24:41 AM

日が暮れるのが早くなった。しかも日差しがなくなると、一気に風も冷たく感じる。強く吹き付ける風に、思わず下を向くと、前方の暗がりにぽつぽつと灯りが見える。ゆるゆると動く灯りに照らされていたのは、ワンコだった。

 首輪についた灯りが、顔の辺りをぼーっと照らしている。暗闇に馴染む色合いなので姿形がわかりにくかったが、よく見ると頭の部分がもふもふと大きく、体のほうがほっそりとしている。
 
 気づくと、その大きな目がこちらをじっと見ていた。吠えるでもなく、しっぽを振るわけでもなく、ただただ見つめられている。というより、すっかりその態勢で固まっている。
 
 飼い主さんが、「行くよ」といいながらリードをひく。それでも動かない。私が横を通り過ぎる時もじーっと見ている。かわいい。思わず声が出そうになる。大きな目とそのもふもふの頭のバランスが良すぎた。近寄りたくなるのを我慢して通り過ぎた。

 それだけだけど、寒風の中ほっと心が温まった。散歩中のワンコに出合うのは、私の密かな楽しみなのだ。


「tiny love」

10/29/2025, 6:08:41 AM

 おもてなし上手な人に憧れる。小さい頃から、人を家に招き入れることが少なかったし、そもそもそういうことが苦手だと思う。
 
 おもてなし上手な人の家に行くと、そのさりげない気遣いに驚く。清潔に整えられた部屋。相手をリラックスさせながらも、程よいタイミングでものごとが進んでいく。たくさんの手料理が用意されていることもあるし、みんなで持ち寄ったものがあれば、手際よく並べられる。

 自分の気の利かなさを思い出すひまもなく、心地よい時間が流れていくのだ。もうすっかり、その人のおもてなしに甘えてしまう。
 それなのに、心の底はどこか居心地が悪い。本当はその人に気を使わせているのではないかと、もやもやとしてしまうのだ。

 後で、その人に聞いてみたことがある。その人は、笑いながら「おもてなしをするのが好きなのよ。こんなのが好きかな、こうすれば喜ぶかなとか考えながら用意するのがね。だから、楽しんでくれたらいいのよ」。

 ああ、そうなのか。私は、その思いに応えることでよかったのだ。


「おもてなし」

10/28/2025, 6:27:00 AM

 私は知っている。君の心の中にあるものを。ふとした時に見せる目は、優しい。
 同じ場所にいないことを選んだ。交わす言葉は今までとは違う。事務的で素っ気ない。それでいい。私は大丈夫だ。
 
 そして、一人になったとき、自分の心にも消えない何かがくすぶっているのを知った。君の目に、自分の心の焔を見ていたのだろうか。それがまた燃え上がることはない。でもひっそりと、心の奥を温めてくれている。
  

「消えない焔」

10/27/2025, 8:19:57 AM

 問い続けている。何で存在しているんだろう。自分にできることをずっと考え続けている。
 友人も学生の時から同じように問い続けていた。言葉にならないような焦りや、もどかしさ。何だか分からないけれど、どこか満たされないような気持ちを話し合った。

 なかなか会えなくなってからも、時々そんな思いを文字にして送ってきてくれた。時が経つにつれ、回数は減ってきても、色々な思いが綴られていた。ある日突然、パートナーができたと知らせてきた。それ以来、ぱたっと連絡がこなくなった。彼女の問いかけは、もう終わったのだろうか。聞く相手がパートナーに変わっただけなのかもしれないけれど。

 私の問いは、ずっと続いている。生活環境が変わっても、それは変わらない。おそらくこれからも。いつか答えは出るのだろうか。自分に期待するなともう一人の私が言う。でも、また別の私がもっともっとと言ってきて、終わらないのだ。


「終わらない問い」

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