おもてなし上手な人に憧れる。小さい頃から、人を家に招き入れることが少なかったし、そもそもそういうことが苦手だと思う。
おもてなし上手な人の家に行くと、そのさりげない気遣いに驚く。清潔に整えられた部屋。相手をリラックスさせながらも、程よいタイミングでものごとが進んでいく。たくさんの手料理が用意されていることもあるし、みんなで持ち寄ったものがあれば、手際よく並べられる。
自分の気の利かなさを思い出すひまもなく、心地よい時間が流れていくのだ。もうすっかり、その人のおもてなしに甘えてしまう。
それなのに、心の底はどこか居心地が悪い。本当はその人に気を使わせているのではないかと、もやもやとしてしまうのだ。
後で、その人に聞いてみたことがある。その人は、笑いながら「おもてなしをするのが好きなのよ。こんなのが好きかな、こうすれば喜ぶかなとか考えながら用意するのがね。だから、楽しんでくれたらいいのよ」。
ああ、そうなのか。私は、その思いに応えることでよかったのだ。
「おもてなし」
10/29/2025, 6:08:41 AM