NoName

Open App
8/2/2025, 9:27:50 AM

 帰省して、ふるさとの街を歩く時は、なんとなく心のどこかで期待してしまう。ばったりと会えるのではないかと。
 駅、駅前の自転車置き場、バス停の前で。いるわけないかと思いながら通る。

 でも、本当に会いたいと思っているわけではない。お互いきっと変わってしまっているだろう。それを受け入れる準備は、全然できていない。
 あの時の記憶を景色に重ねているだけなのだ。

 でも、帰るたびに、心の深いところに沈めていた思いが、静かに波打つように感じられる。

「8月、君に会いたい」

8/1/2025, 9:00:51 AM

 最近の日差しがあまりにきつすぎて、サングラスを買った。日傘をさしても、下から跳ね返る日差しがすごく眩しかったのだ。

 メガネ店で、色々かけてみる。どれが似合うかさっぱり分からない。お店の人に勧められたプラスチックフレームのものをかけると、なんとなくしっくりきたのでそれにする。

 今度は、レンズの色を選ぶ。薄めから濃い色までたくさんある。薄めのものは、目元も見えて、怪しさ?が少し減る気がする。すると、店員さんが、「眩しさなら濃いめですよ」と言う。少しでも怖く?見えないよう茶で選ぶ。茶でも色々ある中から、肌うつりの良さそうなものを選んだ。

 出来上がったサングラスをかけてみると、アレ? 思ったよりレンズの色が濃かったかな?
「これで眩しくないですね」と、店員さんがニコニコしている。鏡の中には、茶色のサングラスの人が写っている。見慣れない。

 早速外でかけてみる。確かに目は楽だ。でもやっぱり落ち着かない。ショーウィンドウに映る自分の姿に、ちょくちょく驚きながら歩いている。

「眩しくて」

7/31/2025, 9:52:56 AM

 懐かしい場所を訪れてみる。
その場所は、だいぶ変わってしまっているだろう。すっかりきれいになった駅の改札を出て、
街並みを見る。

 そこにあったはずの建物はなく、新しい高いビルになっていた。あの時の面影を求めて歩いてみる。あっ。古い商店街がビルの谷間に残っていた。見覚えがある。
 
 一気に記憶が戻ってきた。あの辺のお店で、よく食事したはず。お茶もしたかな? 同じお店かどうかはわからない。でも、なんだかドキドキしてきて、あの時の胸の鼓動までもが、よみがえってきた。

「熱い鼓動」

7/30/2025, 7:06:54 AM

 気に入って買ったノートを、いつから使おうかとちょっと悩んでいる。
 価格が高めで、なかなか買わずにいたが、先日、セールになっているのを見て、ついに手に入れたものだ。
 
 買ってすぐは、お店の包装紙を丁寧に開けて、うっとりと眺めた。まだ、ノートを包むフィルムは開けず、その上から硬い表紙の感触を楽しんでみる。中を見てみる? 何だかもったいない。

 でも、このまま使わないと、紙や、めくる感じ、何よりもその書き心地を楽しめない。長い間置いていたら、劣化してしまうかも。使ってこそのノート。早速、開封。フィルムを開けようとしてみる。んー。いや、まだ。他のノートもあるし、やっぱり、もう少し後にしよう。
 
 そんな感じで、ずっとそのタイミングを逃しつづけている。
 
「タイミング」

7/29/2025, 9:17:38 AM

 はじまりの場所は、追いかけたらみつかるだろうか。急がないといけない。あっという間に薄くなってしまうから。

 その姿を見ると幸せな気分になるのは何故だろう。色のグラデーションが、あまりにも美しいからだろうか。大きな放物線が明るい何かを彷彿とさせるからだろうか。めったに出合えないからだろうか。

 でも、見えた時には遅くて、はじまりへは行けない。

 もしかしたら、別の時には、今いる場所がそのはじまりになっているかもしれない。そこからぶわっと光が伸びている。向こう側にいる誰かからその美しい光の束が見えているのかもしれない。


「虹のはじまりを探して」

Next