空気が冷たく、乾燥してる。
ボクはこんな季節がだいすき。
人が歩いてる。
ボクは人もだいすきだからくっつこう。
あ、ボクの仲間がおててにいるね。
やっほー。
ボクはお口の中におじゃましようかな。
「ただいまー。」
「おかえりー。
手洗い、うがい、しなさいねー。」
「うん。」
え?
ジャー、ザバザバ
なに、この音。
『キャーッ!』
仲間の悲鳴?
ザバッ
うわっ、水がっ!
ブクブクブクブク
わあっ!かき回される!
ペッ
『キャアッ』
お外に出された!
「ばいばい、かぜバイキン。」
キュッ
ザーッ
『キャーッ!』
「さよならは言わないで」
朝がきて
夜がくる。
また朝がきて
また夜がくる。
太陽の側でこの星は自転して
この星にいるわたし達は、光に包まれた朝と、闇に包まれた夜とを繰り返す。
時間の流れを大きく捉えれば、
わたし達はとめどなく移り変わる光と闇の狭間で暮らしているということになるのでしょう。
今日もバレリーナのように地球は回る。
回る地球にオルゴールのメロディを添える。
(小沢健二の『旅人たち』もしくは『球体の奏でる音楽』をオルゴールversionにして。どちらでも同じ曲。)
「光と闇の狭間で」
夫婦は
落ちていく葉の中で、ただ座っていた。
優蔵さんは入院中に百合子さんが編んだニット帽とセーターを身につけている。
こうやって太陽の下で二人ゆっくりするのは久しぶりだ。
今日は体の調子がいいから。と言った百合子さんには、それでもまだ微熱がある。
落ち葉が降る。
降り落ち、積もる落ち葉に、時の流れと蓄積した時間を思う。
そして愛情とは時間じゃないかとも思う。
共に過ごした長い時間が降り積もっていく。
このなんともない、二人ただベンチに座っているだけの時間を終わらせないでほしい。
優蔵は思う。
冬のはじまりを知らせるように、冷たい風がびゅう、と吹いた。
「もしもわたしに何かあっても泣かないで下さいね。」
穏やかな笑顔で百合子が言う。
「ばかだなー。
泣くわけないだろー。」
優蔵は百合子から少し距離をとって涙を拭った。
160作突破記念
「距離」
前回 11/22 150作目。
10作ごとぐらいにしている。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。
猫をケモ耳つけた擬人化で想像してみる。
ミケコは年若く、気の強い女だ。
「信じらんない!何日も来なくってさ!」
クロはミケコより少し年上の、物腰の柔らかい落ち着いた男。
「ごめん……
ごめんね………。」
ふわりとした物腰でミケコの隣に座る。
「なんだよ!くんなよ!
おこってんだぞ!」
「うん……
ごめんね………。」
そう言いながらもクロはさらにミケコに近づく。
「なんだよ!バカ!
クロなんかきらいだ!」
そう言ってそっぽを向くミケコの頬を伝う涙を、
「ごめんね…。」
と言ってクロがペロリとなめる。
「なんだよう………。」
ポロポロと泣き出すミケコの頬を、クロはペロペロと………
ペロペロと……………?
…………擬人化むりや。
「泣かないで」
口どけのいい小さな四角いチョコを、一粒口に頬張る。
青いマフラーを巻いて、今日も駅に立って電車を待っている。
「冬のはじまり」