sunao

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11/18/2024, 12:54:20 AM

「もうすぐ冬になるね。」
エゾリスさんが言いました。

「ああ、そうだね。」
シマリスさんが言いました。

「ボクはさあ、冬、きらいじゃないんだよね。
 そりゃあ食べ物とるのが大変になるけどさ。
 空から降ってくる、白くてちらちらするあれに会えるし、世界が真っ白になって、その白いのが降り積もる音しかしない感じとか、ほんと、すきなんだよね。
 木が透明なのに覆われて固まってたり、
 光がキラキラ降ってる時もきれいなんだよなあ。」

「ああ、そうなんだ。」
シマリスさんが、こっくりこっくりしながら話を聞いた後、言いました。

「ボクは、そういうの、なにもしらないから。」
ふわあー、とあくびをしました。

「えっ、なんで?」
灰色ふわふわのエゾリスさんが言いました。

「だってボク、ずっとねてるもん。
 冬の間?1年の半分くらいねてるんだよ。」

「なんだって!?
 冬を見たことがないのかい!?
 そんなにねたら頭ズキズキするよ!?」

「ああ、ごめん。
 せいかくには何度も起きて巣穴でご飯を食べているよ。
 今年も木の実、いっぱいたまったし、そろそろねようかな。」
しましまのシマリスさんは、眠そうに、じゃ、と片手をあげて去っていきます。

「つぎいつ会えるのー?」
エゾリスさんの大きな声がシマリスさんを追いかけます。

「桃色のお花がいっぱい咲くころかなー。」

「………
だいぶ、先だね………」

まだ日差しは暖かく、風が冷たい頃のお話。




「冬になったら」

11/17/2024, 6:07:40 AM

マフラーを巻いて、僕たちは、銀杏の葉がちらちらと降る街を歩く。

桃色のマフラーがきみに似合っていてかわいいと思う。

そんなきみは

「はなればなれにならないように。」

と、まるで子供扱いするようなことを言って僕の手を繋いだ。

人が混んでるわけでもなし、ただ手を繋ごうとしただけだと思う。

なんとなくうれしい。

空気が冷たいから、よけいにきみの手の温度がわかりやすく伝わる。
きっと僕の手の温度もきみに伝わっているだろう。

繋いでる手から温度が行き来してる。

ほんとうに僕たちは今、はなればなれじゃないね。




「はなればなれ」

11/16/2024, 12:48:00 AM

落っこちてるまんまるオレンヂの毛玉

根本から立ち上がってる弱々しく細い毛は
空気の流れに微妙にふるえる。

毛玉は、呼吸のリズムで膨らんだり萎んだり上下する。

見ているのはミルクの夢か。

小さな温度のオレンヂの毛玉。



「子猫」

11/15/2024, 5:09:21 AM

日差しは暖かくても、空気は透明で冷たい。

青色のタータンチェックのストールをぐるぐるに巻いて、一時間に一本の電車を待つ。

ホームの後ろには色づいた木々が並ぶ。

さらにその後ろには山がある。

空気に溶けるような風が吹くと、木々から葉が剥がされ落ち、ホームに落ちてた葉たちと一緒になって、カサカサ音を立てながら輪を描く。

並木の葉の隙間で光はきらきらと揺れ、黄色の葉は光を透かす。

遠くに電車の影が見えてきた。




「秋風」

11/13/2024, 10:20:03 PM

最近朝、起きづらくなってきた。

寒くなるとみんなそんなもんでしょう?

ああ、起きたくない。

でも起きなくちゃ。

起きたくない。

そんなわたしにおふとぅんは、微笑んでこう言うんだ。

『また、会いましょう。』

おふとぅん〜〜〜!!!




「また会いましょう」

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