sunao

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9/22/2024, 3:00:46 PM

高熱がずっと続いている…

混沌とした意識を彷徨いながら酸素マスクを曇らせる。

夜明け前までもたないだろう…

命が燃え尽きるまでもう時間がないのを感じる。

君からのLINEは来ているのだろうか…
確かめることさえできない…
そんなことが頭をよぎる。

カーテンの間から見える星空が泣く。
違う。
わたしの目に涙が溜まって歪んで見えてるだけ。 


ああ、なんか明るい…
花畑が見える…
白とピンクのコスモス?
今の季節らしい…
きれいだなあ…

花畑を進んでいくといつの間にか夜景になっている。
花もチョコレートコスモスと青いダリア…
風が吹いたのか、ぶわっと花びらが舞い上がった。
花吹雪の向こうに、川と小さな船着き場と木のボートが見えた。

時間よ止まれ
まだ大事にしたいものがあるんだ。

そう思うのにわたしの足は裸足で赤と青の花を踏み散らして歩き、船着き場に向かうのを止めない。

秋に恋がれていた。
まだ秋らしい秋を迎えていない。
涼しくなったらこの熱も下がって体が楽になるかもと…

声が聞こえる…
誰の声かもわからない。
あの人かもしれない…
でもわたしの足は進むのを止めない…




90作突破記念
「声が聞こえる」

7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 9/13 80作
突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。

9/21/2024, 12:58:49 PM

ツバメたちがいなくなった。
青空を見上げて思う。
おいしそうないわし雲。

エノコロ草の揺れる草むら。
通り抜けるとひっつき虫がたくさんぼくの黒い毛についてしまう。

だからぱりぱりぱりと足で掻いてある程度落として、シロちゃんの家に行く。

ニャウー

縁側から降りてすりすりっと擦りつく。
チリチリチリッ
首の鈴が鳴る。
飼い主さんをちらりと挨拶するように見て二人で出かける。
浅く水の流れる川まで行って喉を潤し、バッタをつついたり、木や草の陰で過ごす。

日が傾いてきたらももいろに焼き上がったいわし雲を見て、
そのうちぼくの目の色みたいなまるい月を並んで眺めて
そろそろ帰ろうか。
そう言ってお家まで送ってお別れをする。




「秋恋」

9/20/2024, 1:35:14 PM

セミの死体と思しきものにはさわらない!
これは忘れないように、大事にしたいこと!
死んでるかどうかなんてわからないんだから!
セミファイナルがこわい!
心臓にわるい!



「大事にしたい」

9/20/2024, 2:35:57 AM

時間を止めたら、降ってるものの動きも止まる。


例えば冬なら

降ってる雪の動きを止める?

そしたら地面に着く前の雪をガラスの器によそって、シロップをかけて、かき氷にして食べる?

きっとお腹がいたくなるね。


春なら

地面に着く前の桜の花びらをたくさんとって、
桜茶のために塩漬けにする?


夏なら

雨を止めて…

止めてもその中を歩いたらけっきょくずぶぬれ。
止んでるうちに止めたいね。


秋なら…

落ち葉の掃除が楽になるのかな?




「時間よ止まれ」

9/19/2024, 12:18:33 AM

月は大気がないから一日中空が黒い。

その中で地球は一番大きくて、いつもだいたいおんなじ場所に見えてる。

夜の地球は、暗闇に金色の粒々がちらちらしててとてもきれい。
ぜんぶ昼の地球も、ぜんぶ夜の地球も、その間の地球も、ぜんぶきれいだと思う。

ラピスラズリみたいな瑠璃色の地球は、たくさんの星空の中を、オルゴオル仕掛けみたいに、ゆっくりと回る。


僕らはたまにボートに乗って、もっと近くから地球の夜景を見に行く。

夜の地球の上にいると、金色の粒々の海の上にいるみたい。
所々光が集まっていたり、線になっていたり。

そうして僕らは旅を終えて、また銀色の星に戻る。



《月のうさぎのノートより》




「夜景」

参考 : 9/11「カレンダー」
   9/17「花畑」

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