sunao

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高熱がずっと続いている…

混沌とした意識を彷徨いながら酸素マスクを曇らせる。

夜明け前までもたないだろう…

命が燃え尽きるまでもう時間がないのを感じる。

君からのLINEは来ているのだろうか…
確かめることさえできない…
そんなことが頭をよぎる。

カーテンの間から見える星空が泣く。
違う。
わたしの目に涙が溜まって歪んで見えてるだけ。 


ああ、なんか明るい…
花畑が見える…
白とピンクのコスモス?
今の季節らしい…
きれいだなあ…

花畑を進んでいくといつの間にか夜景になっている。
花もチョコレートコスモスと青いダリア…
風が吹いたのか、ぶわっと花びらが舞い上がった。
花吹雪の向こうに、川と小さな船着き場と木のボートが見えた。

時間よ止まれ
まだ大事にしたいものがあるんだ。

そう思うのにわたしの足は裸足で赤と青の花を踏み散らして歩き、船着き場に向かうのを止めない。

秋に恋がれていた。
まだ秋らしい秋を迎えていない。
涼しくなったらこの熱も下がって体が楽になるかもと…

声が聞こえる…
誰の声かもわからない。
あの人かもしれない…
でもわたしの足は進むのを止めない…




90作突破記念
「声が聞こえる」

7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 9/13 80作
突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。

9/22/2024, 3:00:46 PM