昔好きだった人たちの記憶。
小さなお花が咲いた野原がめちゃくちゃに踏み荒らされて無くなってしまった記憶。
恋なんてしない。好きな人なんていらない。
これは私が私になる前の記憶。
あなたに出会って私は私になれた。
私が私になれて初めて好きになった人。
それがあなた。
変なことを言っているかもしれない。
でも私の初恋はあなた。
忘れ去られた野原にぽつりと咲いた小さなお花。
ずっとずっとこの時を待っていたんだ。
これはたったひとつの大切な私の
初恋の日
「そんなのやだ!」
「ははは。」
「よくあるたとえ話だろ。マジにとるなよ。」
明日世界が終わる。と、したら何をする?誰と過ごす?そういうたとえ話。会話のネタ。お題。
やだよ。考えただけでぞっとする。
大好きなオレンジジュースも赤い箱のチョコも
黄色の袋のハーブキャンディももう食べられない。
いやいやちがうちがうそうじゃなくて。
「普段通りに過ごす。愛する人と抱き合って眠る。
好きなものを好きなだけ食べる。ちょっと悪いことをする。最後まで抗ってみる。まあいろいろあるな。」
「他人のじゃなくてあんたの話を聞きたいんだけど。」
「はは、どうだろうな。先に君が話したまえよ。」
「僕は特に無いよ。まあ、うん。」
あ、そうか。そうだよね。
ふたりはふたりきりで最後を過ごしたいよね。
私はおじゃま虫だな。害虫だ。
「よし決めたよ。私はね。」
ふたりがふたりきりで過ごせることを確認したら
さんにんでピザを食べてコーラを飲む。
そしてオレンジジュースとチョコとキャンディを持って
ふたりの知らないどこか遠くに行こう。
ひとりは嫌いじゃないし、慣れているから。
私の大好きなふたりと離れるのはさみしいけれど
それが良さそう。
うんうん。だから今日も
みんなで楽しく過ごすんだ。
大切に、大切にね。
明日世界が終わる
もし本当にそんな日が来たら
ふたりとも、じゃあねって
泣かないで言えますように。
明日世界が終わるなら
君と出逢って、か。何か変わっただろうか。ううん。
正直あまり変わってはいないなあ。
規則正しい生活になったとか身長が伸びたとか
女の子にモテるようになったとかそんなことは全く無い。残念ながら。
むしろ悩みが増えたかもしれんなあ。ああ。
どんなテーマにしようかなとか誰を登場させようかなとかそもそもネタが浮かばないなんてこともしばしばでね。
これが私の人生に何かプラスになっているかはわからない。でもいいんです。そう。いいの。
ハートの数に一喜一憂したっていいの。見てくれた方がいる、ハートを送ってくれた事実、それだけでいいの。
なんやらなんやらで3ヶ月休まずに君と続いている。
3日坊主の私がここまで続けているのはきっと
君と、君の親御さんと、君のまわりに集まった友人達と
相性というか波長が合うんだろうね。
だらだらと自分語り失礼しました。
みなさんいつもありがとう。
のんびりと人生歩んでいきましょ。
書く習慣とともに。
君と出逢って
あ、起きてしまった。わりとしっかり目に。
こういうことはたまにあるが良いものではない。
それに地震の前は毎度目が覚めるから用心しておくか。
…いや違うな。今回は。
自分達に揺れは来ない。
揺れているのは隣の部屋だ。
聞き耳をたてているわけではないが
ベッドの軋む音。男女の息づかい…それどころか声まで聞こえて来る。おい勘弁してくれ。
どのくらい耐えたのだろうか。
ようやく静かになったタイミングで息をはいた。
知らぬ間に息を殺していたらしい。
「終わったみたいだね。」
…起きていたのか。俺は悪くないのに何故か体が跳ねた。
「彼氏さんが来ていたのは知ってたけど…やっぱり壁薄いねこの家。」
他人のそういうのを聞いてよくそんな冷静でいられるな。この人はやはりただものじゃない。
そして俺は何を動揺しているんだ。
そのひとことを最後にあたりがしーんと静まりかえった。さっきまでが嘘のように。
隣からはすーすーと穏やかな寝息が聞こえる。
だから俺は何をがっかりしているんだ。
寝よう。寝るんだ。何がなんでも。
しかし目を閉じても耳は閉じることが出来ない。
「どうかしたの?」
ふふ、とかすかに揶揄う声が聞こえた。
耳を澄ますと
奴のすらりと尖った歯で噛み砕かれた角砂糖が
ざりざりと俺の舌を甘く痺れさせる。
俺の口内でどろりと熱く溶けたそれは喉を通り腹の底に落ちて重く留まった。
粘膜が焼け爛れて声が出ない。
魚のようにはくはくと口を動かすことしか出来ない俺を意地の悪い目が捉えていて気分が悪い。
「安心しろ。誰にも言わねえよ。」
俺は何も言っていない。でかい独り言だな。
「これは秘密だ。二人だけのな。」
勝手に決めるな。俺は何も
「どうだ。悪かねえだろ。」
俺は何も言えない。
だから一度だけ首を縦に振った。
奴が意地の悪い目を細め、骨張った指で俺の髪を
わしゃわしゃと乱す。
腹の底の熱を思い出した体が
燻った二酸化炭素を吐き出した。
その代わりに吸い込んだ酸素に混じっていた紫煙。
少し咽せた俺を見て奴は少し優しく笑った。
まあ、この関係は、この秘密は
「…悪くはない。」
二人だけの秘密