お題『記録』
あなたが今日生きた記録はなんですか?
今日は何を食べましたか?どこへ行きましたか?何に、いつログインしましたか?誰と会いましたか。
それらがもし明日無くなっても、周りが記憶してくれていたら、きっとそれは、記録である。
あなたがしたことは、どこかにこっそり、砂粒のように所々落ちている。
お題『さぁ冒険だ』
冒険って、別に、海外に行くとか、全く触れたことのなかったものに触ることだけが冒険じゃない。
いつも着てる服に、ちょっとアクセサリーを加えたり、気になってた店の前を通りがかったり、読んだことの無い本を手に取ってみることも、冒険だと思う。
この世界は、まだ見ぬ素敵なもので溢れている。
その冒険は、あなたを時に傷つけるかもしれない。それはとても怖いことだ。辛いことだ。……嫌なことだ。
そんな冒険したくないと思うかもしれない。
しなくてもいいのだ。いつか、いつか。
傷付きながらも大切な何かを得られたらいいな。
お題『一輪の花』
そこに咲く花は、きっとこの世に溢れるたくさんの、素晴らしい色で染まっているだろう。
そして、胸を張って、美しく咲き誇っているはずだ。
今は少し萎れているかもしれない。 雨に打たれて、地面と顔を見合せて、太陽を浴びたく無いかもしれない。
けれど、いつかその花に適切な言葉が、水が、土が、かけられる。必要な言葉を探せば、見つかるはずだ。
あなたという花はそこに咲く。
お題『魔法』
ふいっ、とその指を振れば、ふわり、とティーカップが空中を躍る。紅い紅茶がちゃぽんと小さな水の音を立てた。あたたかな日に紅茶が照らされ、川のように煌めく。
水面を眺めるように、陽が瞳に反射した。
「すごい…。」
「すごい?」
少々得意げになりながら、女性はふふ、と目を細めながら微笑んだ。それに対して、少年が魔法から目を離さずにゆっくりと瞬きをして、口を開いた。
「すごいです。きれい。魔法って、こんなに不思議なものなんですね。」
彼は、色々な角度からそれを見つめ、ほう、と少し息を着いた。
「あんまり見た事ない?」
「ぼくは初めてです。他の人は見た事、あるんでしょうか。」
「どうかな。」
答えを魔法の中へ隠してしまうように、女性は少年の前へティーカップを届けた。
「少なくとも、私は、人間に見せるのはあなたが初めてかな。」
くるり、と指が円を描けば、マドラーなしに、彼女は紅茶の中身を混ぜた。それを息を止めて、少年は見つめた。
「きみ、息をしなさい。魅入られすぎだよ」
「あ、っ」
はっと気がついて、少年が息を吸う。それを見て、あはっ…と肩を竦めて笑った。
お題『君とみた虹』
ね!見て!
彼女が見つめる方を見れば、大きな虹がうっすら繋がった状態でそこに鎮座していた。
「虹だね」
そう声をかければ、嬉しそうに口角を上げてこちらを見てから、また虹のある方を見つめて、口を開く。
虹の根元では、死んじゃった動物が飼い主を待ってたり、幸せのコインが埋まってるらしい!
ニコニコしながら、虹に釘付けになったままそちらへ走っていこうとする。
「ちょ、待ってよ。早い早い…」
彼女の、想像以上に強い力と早い足に、すごいな…と少々感動を覚えつつ、悲鳴をあげる腕を抑えながら駆け足になる。
「まだあんたがあそこ行くには早いって。」
切なくなりながらもそう言葉にすると、ピタリと止まって彼女はこちらを見た。
そうかも!
彼女の上にかかった虹はいつの間にか、さらに薄くなって、消えそうになっていた。思わず、ふふ、と笑ってしまった。
「ほら、あんたが近づくから薄くなってる。戻ろ。」
うん!
そう言いたげに、彼女はワン!と声を上げた。