お題『君とみた虹』
ね!見て!
彼女が見つめる方を見れば、大きな虹がうっすら繋がった状態でそこに鎮座していた。
「虹だね」
そう声をかければ、嬉しそうに口角を上げてこちらを見てから、また虹のある方を見つめて、口を開く。
虹の根元では、死んじゃった動物が飼い主を待ってたり、幸せのコインが埋まってるらしい!
ニコニコしながら、虹に釘付けになったままそちらへ走っていこうとする。
「ちょ、待ってよ。早い早い…」
彼女の、想像以上に強い力と早い足に、すごいな…と少々感動を覚えつつ、悲鳴をあげる腕を抑えながら駆け足になる。
「まだあんたがあそこ行くには早いって。」
切なくなりながらもそう言葉にすると、ピタリと止まって彼女はこちらを見た。
そうかも!
彼女の上にかかった虹はいつの間にか、さらに薄くなって、消えそうになっていた。思わず、ふふ、と笑ってしまった。
「ほら、あんたが近づくから薄くなってる。戻ろ。」
うん!
そう言いたげに、彼女はワン!と声を上げた。
2/22/2025, 11:08:37 AM