お題『ひらり』
車の上に落ちてきた枯葉。
ひとつ発見したら、その先にはもっと沢山の枯葉がひらり、ひら、と舞っている。私は並木道を車で走ったりするのが好きだ。
枯葉が青い空に舞い上がる所は、時が流れていくのを視覚化されたようで、美しいと思うから。
お題『誰かしら?』
森のりすさんは、お友だちがたくさんです。
毎日、だれかやってきます。
トントントン。
「あら だれかしら?」
「こんにちは。きつねゆうびんです!」
ガチャリ。
「おてがみですよ。」
「あら、ありがとう。」
おてがみをうけとって、ぺらぺらぺら。
「おおかみさんから。『クッキーをつくったから、あした、とどけにいきますね。』まあ、すてき!」
おてがみをよみ終わったら、
トントントン
「あら だれかしら?」
「こんにちは、うさぎだよ。わすれものを とどけにきたんだ。」
ガチャリ。
「このミニカー。きみのだよね。きのう きりかぶの上に、わすれていったよ。」
「ありがとう!探してたの。これ、だいすきなの。」
ミニカーを受け取って、るんるんるん。
さっそく ミニカーで遊んでいると、またおきゃくさんがきました。
トントントン
「あら だれかしら?」
「こんにちは。くまです。うれしいことがあったから、お話したくなっちゃった。いま、いい?」
ガチャリ。
「もちろん、ききたいわ。なにがあったの?」
「じつはね…。」
お茶をいれて、きゃっきゃっきゃ。
「りすさんとお話できてたのしかった!ありがとう。また、すてきなことがあったら、お話しにくるね。」
「うん。あなたとお話するの、すきよ。」
森のりすさんはお友だちがたくさんです。
毎日、だれかやってきます。
明日は、だれがやってくるでしょうか。
お題『芽吹きのとき』
努力しても上手くいかない。上達しない。あの人のように出来ない。そういう時って、すごく辛い。しんどくて、やめたくなる。
でも、ねえ、ほんとに蕾のままなのかな?
少しは、芽吹いてたりして。
少しだけ、空に近づいてたりしないかな?
お題『あの日の温もり』
誰かと手を繋いだ時の、あのぬくもりを覚えていますか?
自分とは違う大きさの手。自分とは違う肌質。肌の色。爪の形、指の長さ。
誰かを抱きしめた時は?
どんな体の大きさだったかな。どんな体温だったかな。
嬉しかったかな。思い出してみて。
お題『cute!』
「𝑺𝒐 𝒄𝒖𝒕𝒆…」
「だから、文体変えるのやめてよ、どうやってんの、それ。」
「変換で出る。」
「やば…」
何言ってるの?と少しドン引きしながら言う。更に、「あっ、お散歩中の犬。可愛い。」と声を出すと友人は「𝒄𝒖𝒕𝒆…」と言う。意味がわからない。何故こんなことにこの人はなっているんだろう。
「なんでその言葉だけ変換されるの。」
「分からん。バグ?」
「会話にバグとかある世界線なんだねここ…。」
困惑しながらも会話を続ける。
「まあちょっと面白いからいいじゃない。」
「So Cuteで何が喋れるんだ…?」
「𝒐 𝒄𝒖𝒕𝒆」
「オ、キュート…じゃないよ。キュート見つけるな」
「𝒖𝒕𝒆」
「何をだよ。」
「文字?」
「それはちょいおもろい。」
ふふ、と笑う。
「𝑺𝒐 𝒖」
「変な会話の仕方しないでよ」
「𝒐 𝒄𝒆」
「無理やりそれ「ケ」って読ませるのやめてよ」
あはは、と楽しげに笑いながら、肩を叩かれた。