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10/11/2023, 7:12:01 AM

『涙の理由』

 「怖い」
 ただ、それだけだった。

 人間 自分 幸せ 
 車、バイクのエンジン音 人の声、目線
 街の騒音、ざわめき 電話
 電車、飛行機 人混み 
 路上でチラシ配ってる人 店員 募金 選挙
 救急車、消防車、パトカーのサイレン
 人間の感情 期待
 物音 誰かが傷つくこと 怒り 不満

 怖くて、怯えて、疲れて。でも、涙なんて出なくって。
 「たすけて」ってずっと言ってた。でも誰も気づいてはくれなかった。
 当たり前だ。声に出してるわけではないのだから。
 この世界の誰も、相手の心の中を見通すことなどできないのだから。

 でも君は、気づいてくれたね。
 「大丈夫?」って聞かれて。
 「大丈夫だよ。」って反射的に答えてて。そしたら。
 「大丈夫じゃないでしょ。」って。

 君は、私から目をそらさなかった。
 怖かった。
 (気づかれた。誤魔化さないと。)って。
 
 気づいたら、泣いていた。

 
 君は優しくて、温かくて。
 あの日、私が泣いた日。
 隣にいたのが君でよかった。

10/5/2023, 1:25:11 PM

『星座』

 だいぶ寒くなってきたな。
 やっぱり、夏の暑さよりも冬の寒さの方が好きだ。
 何となく、いつもより空気が澄んでいる気がして。

 東京じゃあ、星座がつくれるほどたくさんは見えないけれど、
 君と手を繋いで、見上げる夜空に瞬く星は、とても綺麗なんだ。

10/2/2023, 10:21:39 AM

『奇跡をもう一度』

 奇跡よ起これ。
 いや、起こせ。

 こんなことを書けるようになった。
 勇気の出し方を思い出せた。
 
 ちゃんと、心から笑えるようになったのは、
 きっと君の存在が大きい。

 あんな、堕ちるとこまで堕ちたのに、ここまで戻ってこれたのだ。
 きっと、大丈夫。

 周りからの「頑張れ」も、塾の壁に貼られたのカウントダウンも、
 全部どうでもいい。全部跳ね返せ。
 受験でもなんでも、かかってこい。

9/28/2023, 1:35:04 PM

『別れ際に』

 「こんな消え方、かっこよくない?」
 そう言って、君は笑う。
 君は、僕の目の前で消えた。

9/28/2023, 9:46:23 AM

『通り雨』

 雨の降る日、僕は生垣のそばに座り込んでいた。
住宅街の中にある坂道の途中。

 雨が降っているせいか、普段より人通りは少ない。たまに通っても、早足で僕の目の前を通り過ぎて行く。
 誰も僕に興味なんて無いだろうし、僕も彼らに興味は無い。
 
 雨音に混じって、どこからか、聴き覚えのない音が聴こえてきた。
 雨の日には到底似合わない、明るい音。雨でくぐもった空気の合間を縫うように、僕の耳に入ってきた。

 「トランペットの音する。」
 「この曲なつかしー。またやりたいね。」

 制服を着た学生が、通り過ぎて行った。

 いつ間にか、雨は止んでいた。
 あの音も、雨と一緒に消えていた。

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