『涙の理由』
「怖い」
ただ、それだけだった。
人間 自分 幸せ
車、バイクのエンジン音 人の声、目線
街の騒音、ざわめき 電話
電車、飛行機 人混み
路上でチラシ配ってる人 店員 募金 選挙
救急車、消防車、パトカーのサイレン
人間の感情 期待
物音 誰かが傷つくこと 怒り 不満
怖くて、怯えて、疲れて。でも、涙なんて出なくって。
「たすけて」ってずっと言ってた。でも誰も気づいてはくれなかった。
当たり前だ。声に出してるわけではないのだから。
この世界の誰も、相手の心の中を見通すことなどできないのだから。
でも君は、気づいてくれたね。
「大丈夫?」って聞かれて。
「大丈夫だよ。」って反射的に答えてて。そしたら。
「大丈夫じゃないでしょ。」って。
君は、私から目をそらさなかった。
怖かった。
(気づかれた。誤魔化さないと。)って。
気づいたら、泣いていた。
君は優しくて、温かくて。
あの日、私が泣いた日。
隣にいたのが君でよかった。
10/11/2023, 7:12:01 AM