題 ススキ
風に揺れるススキ
無限に揺れる夕日に照らされたススキを見ていると
黄金色に優しいススキに、紫色の、ピンク色のヴェールがかかっているようで思わず微笑んでしまう。
1日の時でも1番優しさに溢れる時間を目撃してしまったようで、
ただただ私の髪を揺らす風は癒しの風に感じて
空気の香りも少しだけ夏よりも重いような、秋の香りをまとっていて、
わたしはそこから動けなくなる。
その光景から離れたくなくなる。
その優しい空間にいつまでも存在したいと思う。
少し経つとピンクも紫色も次第に濃い青色に変わっていって、藍色に変わってくるんだ。
黄金色のススキも影のように色を落として行く。
今日この時間に、立ち会えて良かったな。
私はそこではたと思う。
1日のステキな時間に気づいて立ち会えたなんて、なんて幸せなことなんだろう。
私は、さっきの美しい空間をしっかり目に焼き付けて、ずっと忘れないでいたいな、と思った。
題 脳裏
脳裏によぎるあなたの姿
想いは絶対に届かない
届かなくてもいいけど、ただ見ていたいから。
私の脳裏によぎるのはこの間行ったコンサートで歌う唯一の推しの姿。
尊い。
見てるだけで何だか瞳が自然に潤む。
声を生で聴けるだけで幸せ全てを凝縮したようだから。
それだけで、今まで生きてきた私が報われた気がした。
カッコイイ、そして、面白くて、優しい笑顔。
目の前で見ているだけで全ての幸福が私に集まってきたようだ。
私の声援が、少しでも届いていればいいな。
あなたからのありがとうという言葉。
私に向けられているものでなくても、私の気持ちには応えてもらえなくても
私はあなたが好きだよ。
尊敬しているよ、そして、今の私の全てだよ。
存在してくれてありがとう。
私の目の前に現れてくれて、私の人生の光になってくれてありがとう。
私は今日もあの日のコンサートのあなたを脳裏に浮かべて、その素敵な声を脳内で再生する。
今日もあなたがどこかで生きていてくれるならとても幸せな1日だ。
*ファタールを聴きながら書いたので内容が寄ってしまいました(^_^;)
題 意味がないこと
「好きっていうことに何か意味があるの?」
彼氏にそう言われて、私は口を尖らせる。
「あるよ、むしろないと思ってるの?」
私の言葉に、彼氏は少し馬鹿にしたような(そう私には見えた)顔をしていう。
「ないんじゃない?最初に確認すれば、何回も何回も何で言わないといけないワケ?」
「だって、気持ちが変わってるかもしれないじゃん、不安だもん・・・」
彼氏は全然スキって言ってくれないタイプ。
私はいつも不安で仕方ない。
好きだよって言っても、うんって・・・。
うんって何だよ〜?!って思う。
好きって言ったら好きって返すなんて当たり前だと思ってたから・・・結構辛い。
友達に相談したら、彼氏、照れ屋なんじゃない?男性ならそういう人もいるよって言われた・・・。
そうなのかなぁ?
うーん、でも私はちゃんと言ってもらいたいから・・・。
だから・・・。
「不安って、それは俺を信じてないだけじゃん」
「え・・・」
彼氏の言葉に、そうなのかな?と思う。
「別に言葉にしなくても、こうしてデート応じてメールだって返してるんだからさ」
「え〜〜」
不満の声が思わず漏れる。
でも、好きだよっていったら俺もくらい言えないの?!
そんなん、いつまでも一方通行みたいじゃん!
「もういいっ」
私はふんっとソッポを向いた。
デートに応じるとかメール返すのなんて、私もしてるもんっ。
私が、ソッポをむいて、彼氏ははぁっとため息をついた。
ため息つくか?・・・もう・・・。
と思ってると・・・。
「好きだよ」
と言ってくれる。
反射的に振り向くと、バツの悪そうな彼氏の顔。
「俺、そういう言葉言うの苦手なんだよ・・・でも、それで彼女と仲悪くなるのは違うもんな」
「ミキト・・・」
私がうるうるした目で見ると、ミキトは焦ったように私の手を握る。
「泣くな泣くな、ほら、お前の好きなケーキ屋さん行こう、新商品入荷って言ってただろ?」
そんな風に焦る彼氏が新鮮で愛おしくて、私は、うん、と泣き笑いで頷いた。
題 柔らかい雨
ポツリ、ポツリ、、
あ、春雨・・・
春に降る雨は柔らかいと思う。
私はさぁぁっと降る細かい、本当に細かい線のような雨を見上げた。
優しい色の淡い空に、細かい白い線が舞い降りる。
髪や顔に当たっても、その感触はソフトで全然嫌じゃない。
優しさを含んで降り注いでいるようで
道の真ん中で雨が降る空をただ見ているなんて、完全に変な人なんだけど。
それでも降ってくる淡い柔らかさを感じたい。
春雨が好きだ。
春は優しい季節だから、降る雨も優しいのかな、とふと思った。
題 一筋の光
出来ない
出来ないよ・・・
私は部屋で泣いてる。
何も思い浮かばないから。
明日提出しなきゃいけないのに、下絵が描けてない。
美術展に出したいのに、どうすればいいか分からない。
思いつかない。
アイデアがない。
もう嫌だ・・・。
自分の中に溢れるネガティブに自分で愛想がつきそうになる。
こうしていても仕方ないけど、こうするしかない。
でもこうしていても何もアイデアは浮かばない。
そんなこと言っても何をすればいいの?
自分の中の攻撃的な自分が言う。
もうアイデアはことごとくダメだったじゃない。
描きたいものもひらめきもないじゃない。
だったら、何かしようとしても無駄じゃない、って。
でも・・・でも・・・
私の中の何かが反論しようとする。
言われっぱなしは嫌だって。
ダメで何も出来ない自分って諦めたくない何かが。
それでもその反論の言葉は宙で消えてしまう。
自分を擁護したいのに、言葉が出てこないんだ。
ほらね、じゃあそこで大人しくしてれば?
嘲るような自分の声。
悔しい。
私は思う。私には何も出来ないの?
ひらめけないの?
このまま諦めるしかないの?
・・・いやだ。
やだ。
私は立ち上がる。カーテンを明けて空を見上げる。
月が、星が、夜の藍色の広がりにきらめいていた。
この先にはどんな星があるのかなぁ。
ふと考えがそれる。
どこかには平和で、花だけが一面咲いて、楽園みたいに生き物が鳴いて、人は争いもなく、心からそれこそ楽園のようにみんなが生きている場所はあるのだろうか。
こんなに美しい星と月を見ているとその先に希望を見出せる気がする。
緑の髪と肌の人間と、植物で出来た家、沢山のお花、植物と共存する世界、風が吹けば花びらがヒラヒラと舞い踊って・・・。
気づくとスケッチブックにはその惑星のイメージが描かれていた。
私の中の想像の楽園。
どこかにあるかもしれない星。
希望はあるんだ、その時思った。
負けない。
いくら出来ないって言われても、ほら、出来たよ?
私は自分の中の私に言う。
私を嘲っていた声はもう聞こえなかった。
私はとても優しい気持ちでそのスケッチを再度見直して、出来ることならこの惑星に行ってみたいなと思ったのだった。