題 一筋の光
出来ない
出来ないよ・・・
私は部屋で泣いてる。
何も思い浮かばないから。
明日提出しなきゃいけないのに、下絵が描けてない。
美術展に出したいのに、どうすればいいか分からない。
思いつかない。
アイデアがない。
もう嫌だ・・・。
自分の中に溢れるネガティブに自分で愛想がつきそうになる。
こうしていても仕方ないけど、こうするしかない。
でもこうしていても何もアイデアは浮かばない。
そんなこと言っても何をすればいいの?
自分の中の攻撃的な自分が言う。
もうアイデアはことごとくダメだったじゃない。
描きたいものもひらめきもないじゃない。
だったら、何かしようとしても無駄じゃない、って。
でも・・・でも・・・
私の中の何かが反論しようとする。
言われっぱなしは嫌だって。
ダメで何も出来ない自分って諦めたくない何かが。
それでもその反論の言葉は宙で消えてしまう。
自分を擁護したいのに、言葉が出てこないんだ。
ほらね、じゃあそこで大人しくしてれば?
嘲るような自分の声。
悔しい。
私は思う。私には何も出来ないの?
ひらめけないの?
このまま諦めるしかないの?
・・・いやだ。
やだ。
私は立ち上がる。カーテンを明けて空を見上げる。
月が、星が、夜の藍色の広がりにきらめいていた。
この先にはどんな星があるのかなぁ。
ふと考えがそれる。
どこかには平和で、花だけが一面咲いて、楽園みたいに生き物が鳴いて、人は争いもなく、心からそれこそ楽園のようにみんなが生きている場所はあるのだろうか。
こんなに美しい星と月を見ているとその先に希望を見出せる気がする。
緑の髪と肌の人間と、植物で出来た家、沢山のお花、植物と共存する世界、風が吹けば花びらがヒラヒラと舞い踊って・・・。
気づくとスケッチブックにはその惑星のイメージが描かれていた。
私の中の想像の楽園。
どこかにあるかもしれない星。
希望はあるんだ、その時思った。
負けない。
いくら出来ないって言われても、ほら、出来たよ?
私は自分の中の私に言う。
私を嘲っていた声はもう聞こえなかった。
私はとても優しい気持ちでそのスケッチを再度見直して、出来ることならこの惑星に行ってみたいなと思ったのだった。
11/5/2024, 10:53:53 AM