ミントチョコ

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8/14/2024, 12:28:58 AM

題 心の健康

元気が一番なんだよ

そうお母さんは言うけどさ。
でも、元気って、心が元気じゃないとだめだと思うんだよね。

いつもマイナス思考な友達は、元気とは程遠いから。
病気とかしてないけど、辛そうだ。
自分のこと、攻撃してる。

私はだめだ
私は落ちこぼれだ
私は何も出来ない

そんなことないよ
絵を描くの上手だよ
いろいろ出来ることあるよ

伝えても伝えても
伝えても

彼女には伝わらない
拒否されてしまう。

だって彼女の否定はもはや信仰で
彼女は自分が駄目ってことだけは信じてる。
他のことは信じることができないのに

そのことが不思議で仕方ない。
そのベクトルを変えるだけなのに

でも難しいんだね

私は諦めないよ
何度でも
何百回でも
何千回でも言い続けるよ。

だってさ、いつ心にスキができるか分からないでしょ?
少しでも緩んだ時に、私ってもしかしてすごいとこあるのかもって思った時に

響く言葉を、届けてあげたいんだ。

大切な友達だから。

だからね、心の健康をお届けするために
今日も私は彼女のいい所を届け続けるんだ

8/12/2024, 10:10:48 AM

題 君の奏でる音楽

君の音楽ってなんでそんなに光をまとってるんだろう。
わからない、分からないけど惹きつけられる。

同じ楽器なのに、君がひくと軽やかで優しくてふんわりして、それでいて光を感じる。

君の弾くピアノは、まるで天使たちに祝福されたような音色に聞こえるから。

僕の心は満たされていく。
いくら欠けていても、君の音色を聴くと満たされていくんだよ。

それが、他の人にも有効で、そこが少し悔しい。
君の音色の良さを知っているのは僕だけでいいのにな、なんて変な嫉妬心を抱いてしまう。

でも、こうして音色を聴けるだけで、君の音色を聴くことを許してもらえるだけで、僕は幸せだって、いつも思い直すんだ。

僕の弾くピアノが少しでも君の心を打っているといいんだけど。

いつもコンクールで顔を合わせた時笑ってくれるけど、君がどう思っているのか分からないから。

ただ、君の演奏はいつも優勝で、僕は準優勝だ。

悔しくなんかない。君が優勝して、嬉しく思う。

それよりも、僕は君の心に僕の音色が少しでも届いていたらいいのにな、と夢想する。
君のことが好きな僕の気持ちを、込めた音色が届いていますようにって思う。

8/10/2024, 2:17:56 PM

題 終点

この電車に乗って終点まで行ってしまいたいなぁ

僕は不意にそんなことを思う。

用なんてない。
だけどこのぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗って、家に帰宅して、暗い一人の部屋でお風呂沸かして・・・。
ゴミも捨てなきゃ、掃除もしなきゃ・・・そんな気持ち全て放棄したいんだ。

僕が電車の窓から見上げると、そこには暗い星空に瞬く星々と淡い光の月。
優しい世界は僕の気持ちととことん乖離していて・・・。

僕は家に帰りたくない。
家に帰りたくない。

どこかへ行きたい。
それが終点なら、行ってみたい。

知らない街に降り立って、静かな夜を歩いてみたい。

どうしてもそうしたくて。

僕は最寄りの駅を通り過ぎた。
通り過ぎた時、凄く爽快感を覚えた。

そうだね、しょせん逃避だって分かってるよ。
でもさ、たまには逃げることだって必要だよ。

だっていつもと変わらない日常はなにも変化がないけど、少なくともこの先に待っているのは僕にとって未知なんだから。

8/9/2024, 10:43:43 AM

題 上手くいかなくたっていい

上手くいかなかった

何でっ

私は手にした塾のクラス分けの通知表を握りしめた。
受験まであと少しなのに。夏のこの時期に一番上のクラスに入れなくてどうするのっ。

自分を叱咤激励する。

そうだ。

塾の先生にも、学校の先生にも親にも言われた。
私は勉強が足りなかったんだ。
何もできなかったんだ。

やっても、ダメな子なんだ。

足が自然と止まる。まだ最寄りの駅まで遠い。
早く帰って、親の厳しい説教を聞くために帰らなきゃ。

私の至らなさを聞きに帰らなきゃ。

なんでこんなにだめなんだろう。
なんでこんな風に産まれちゃんだんだろう。

もっと才能が欲しかった。
もっと暗記できる頭だったら良かったのに。

目の端がうるむ。
カッコ悪い。
自分を心で目一杯叱りつける。

「どうしたの?」

後ろからの声に振り向くと、同じ塾の山下が立っていた。

「あ、別にっ」

すぐに顔をそむけた。泣きかけてる所なんて絶対に見せたくなかった。

「そう?」

そういいながら、山下はなぜか私の横に並ぶ。

「なに?」

「もう暗いし、一緒に駅まで帰ろうよ」

「・・・別にいいよ」

「まぁまぁ、この辺変質者こないだ出たって先生言ってたでしょ?」

あー、言ってたかも・・・。私は黙って歩き出した。
山下が横をあるきだす。

「名取さん、クラスで1位だったね、テスト、すごいなぁ」

「何言ってるの?!この時期に、上のクラスに行けなかったんだよ?」

私は反射的に強い口調で反論してしまう。

「ダメすぎでしょ。1点でも2点でも見直して頑張らなきゃいけなかったのに」

「でも、名取さん、頑張ったんじゃないの?やれるだけやったんじゃないの?」

山下がそう問いかける。

「少なくとも、クラスで1位なんて凄いと思うよ。そうだね、上のクラスに行くためにはもっと点数が必要だったのかも。それでも、名取さんはとても頑張って勉強したはずだし、ダメとは真逆な所にいるんじゃないかなぁ」

「だってもっと上を目指さなきゃ」

「うん。次は頑張ればいいよ。今頑張ったことは無駄じゃない。ちゃんと力になってるはずだよ。名取さんは絶対にダメじゃない。自分を責めないで」

「だって・・・」
 
私の視界はみるみるぼやけて涙があふれる。

泣いている私を見て、山下がハンカチを差し出した。
私は泣き出したら止まらなくなってしまった。

山下はじっと私が泣き終わるまで何も言わなかった。

それが、私にはありがたかったし、その沈黙がなぜか心地よかった。

ひとしきり泣くと、頭がズンズンと重くなる。

「目が、赤くなっちゃうな」

私がやっとそういうと、山下は

「家に帰ったらすぐに冷やすといいよ」

と言った。

「あと、自分は自分の味方でいてあげてね。励ましてあげて。誰に攻撃されても、自分の心を傷つける事を言わないで」

付け足すように言われた言葉に、私はギクリとする。

「・・・うん、私、完全に自分を攻撃してた」

泣いたことで素直になっている自分に驚く。

「気づけただけで偉いから」

とふわっと微笑む山下に、私は見とれる。

「すごいね、山下って」

「え、そう?」

山下がビックリしたような顔をする。

「うん、凄い、何ていうか・・・カウンセラーとか向いてるんじゃない?」

「あはは、よく言われる」

そういって笑う山下の笑顔につられて私も笑顔になっていた。

気持ちがビックリするくらい軽い。
なんだろう、この爽快感は。

とにかく、とにかく

「ありがとう」

私は山下にお礼を言った。
凄く気持ちが穏やかだ。

そうだね、怒られるかも。
これから親にも先生にも。
それでも、私はわたしの味方でいよう。

私はそう心に強く決意していたんだ。

8/8/2024, 11:15:45 AM

題 花よ蝶よ

私は生まれ持って何でも持ってるわ。
私の美しい容姿にはみんなため息をつくし、私が何かしようとすると、周りの殿方が替わりにやってくれようとするから、何もしなくていい。

お母様もお父様も私のこととても大事にしてくれているし、私が欲しいものはなんでもくれる。

友達も私の服装をいつも褒めてくれる。そんなに言うならとお下がりを上げると、凄く喜んでくれる。

勉学もクラスで一番。
そうなのよ、私には何も不足はないの。

何もかも兼ね備えてる私だけど・・・あの人だけは私にそっけない。
私が困ってても助けてくれない。

理解できない人種なの。

周りの人がなんて言っても甘やかすなって。

甘やかしって何?当然の権利じゃない。
私はその言葉を聞いて、いつもむすーっと彼を睨む。

彼は何も考えてないような涼しい顔をしている。

くやしい。
こんな人初めて出会った。

どうして私みたいな完全な人間の前で膝まづかないんだろう。
どうして。私の能力を認めて私に好かれたがらないんだろう。


「興味ないから」


ある日、どうしても知りたくて、私は彼を捕まえて考えてたことを問い詰めた。

つまり、なぜ、私のようになんでもできる人間を無視するのか、価値があると思わないのか、と。

彼はじーっと私を見てからそう言ったんだ。

「な、興味ない?!この私に」

私は衝撃で彼に聞き返す。

「うん、思いっきり興味ない。どんなに能力あろうが、成績や容姿がよかろうが、それが僕に何の関係があるの?僕は僕の力で人生をいきていくし、僕に相応しい友人も人間関係も自分で決めるから」

「は・・・?」

思わず間抜けな声が出た。

だって・・・何その考え方?
私のなかにはない。
人間って容姿とか勉強できるとか、何かあった方が良いに決まってるじゃない。

それ以外なんてないじゃない。

って伝えると、彼は呆れたような顔で私を見つめた。

「そっか、それが君の世界なんだね。頭がいい人、なにもかも持っている人、その人だけが優れてて、他の人はそうじゃないって。僕はね、僕の趣味の話し出来たり、いつも僕の心配してくれたり、助けてくれる優しい友人がいるから、それで充分なんだ。そこに、頭いいとか他の条件はないんだよ」

彼の優しい微笑みを見ながら私は声を出せなかった。
彼の考え方が理解できない、それでも、彼から目が離せなかった。
私にはない、そんなこと・・・。

考え込んでいると、彼はそれじゃあ・・・と去っていこうとする。

「待って!」

私は思わず彼の服の袖を掴んでいた。

「なに?」

怪訝そうな彼の顔に、私は自分でも何でそんな行動をしたのか分からずに止まってしまう。

・・・でも
・・・・・・でも。

「・・・なのね?」

私が言葉にしたのが聞き取れなかったらしい。
彼が私に聞き返す。

「何て言った?」

「私が、あなたにとって友達になりたいって思うような人間なら、条件なんて関係ないのよね?」

・・・何を言ってるんだろう、と思う。

彼もぽかんとした顔で私を見ていた。
でも、すぐににっこりした。

「もちろん。ま、でも、道のりは長いかもな」

「はっ、そんな、頭脳明晰な私なら、すぐにあなたが友達にしたくなるような友人になってみせるわっ」

「うーん、がんばるものでもないような、そのままでいいんだって」

「そのまま?」

彼の服を掴んだままだった事にはたと気づいて、あわてて手を離す。

「そう。何かあるからじゃなくて。何もなくても、だ、だ、その人のままでいいんだよ。君は、何かあるから好きか嫌いか決めてるだろ?そうじゃなく、何もなかったとしても、君は価値があるんだよ」

「何もなくても・・・」

「だから、そんな風に人を判断しなくなったら、いつでも君と友達になるよ」

あったかい気持ち。
おかしい。そんな気持ち初めてだ。

「あ・・・」

私は静かに頷いていた。
言葉が詰まってしまうのも初めてだ。
どうしたんだろう。自分がおかしい。

「じゃあね」

彼が去っていってしまっても、私はずっとその場を動けなかった。

衝撃と何だかあたたかい気持ち。
そのままでいい、何もなくてもいいんだって。

私、本当は頑張ってた。
勉強も、何もかも、みんながあなたならできる、あなたなら完璧だから、あなたなら美しいから。

だからこそ、その期待を裏切れなかった。
だから頑張った。

美しくあるよう、スマートな私、勉強のできる私、何でも完璧な私。

それじゃなきゃ好かれないと思ってたの。

それをあの人はそうじゃないって言ってくれた。
もしかして、そんな無理してる私のこと、最初から分かっていたのかもしれない。

私は自分の価値観が根底から揺らぐのを感じながら。それでもそれを不快どころか幸せの扉を開いたような気持ちに包まれていたんだ。

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