題 あなたがいたから
あなたと出会ったのは偶然だった
本当に落とし物を拾ってもらってそれだけだった。
それなのに、受け取る時にあなたの顔を見たらもう離したくなくなった。
この場所に留まってほしくて、私と一緒にいてほしくて。
おかしいかな?おかしいよね。
こんな気持ち初めてで。
これまで何回か恋愛してきたけど、そんなの比じゃない位な、引力を感じて。
つい話しかけてしまった。
お礼にお茶奢りますって。
あなたは遠慮してたけど、私は押し切った。
だってこの自分の不可思議な気持ちを確かめたかったから。
どうしてもあなたが特別に思えてしまったから。
お茶を飲んで話してるあなたから目が離せなかった。
別にタイプってわけじゃない。
でも、何ていうのかな、その身にまとってるオーラというか。
不思議な空気が私には心地よくて、あなたの声がここちよくて、もう何もかも不思議で。
あなたは、話しながら、私の顔を見てた。
やっぱり、何か感じてるのかなって思った。
なんて言うか、第六感っていうのかな、そんな感じ。
帰り際、あなたに連絡先を聞かれた。
あと一秒遅かったら私が聞いていただろう。
何だろう。
出会ってしばらくたった今でも、あの時のことを考えると心がざわつく。
あなたはあれから私の彼氏になって、私と一緒にいてくれる。
あなたがいると、他の人がまるで見えなくなってしまう。眼中になくなる。
唯一無二のあなた。
不思議だ。未だに不思議。
初めて出会った時に感じたあなたのオーラは、私は未だに好きだ。
もう感覚的に好きとしか言えない。
存在そのものが好きだ。
だから、細かい優しさとか、頭が良いとかどうでもいい。
あなたでいてくれさえすれば私はあなたが好きだ。
私は、あなたの手を取る。
あなたは私に微笑みかける。
私達はきっとずっと一緒だ。
きっとこんな恋はこの先二度とないと確信できる。
題 未来
未来には何が待ってるんだろう
私は想いをはせた。私の今付き合っている彼氏とずっと一緒にいられるんだろうか。
・・・無理な気がする。
今でさえしょっちゅう喧嘩してるのに、ずっといる未来なんて想像できないよ。
私は今中学生だけど、県内一の素晴しい学校に進学できるだろうか?
・・・この成績じゃ無理かもね。
これから頑張っても限度があるもの。
県内一の学校なんて無理に決まってる。
私の好きな絵はSNSとかで上げたらバズったりするたわろうか?
いや、そんなに才能ないし、バズるなんてよっぽどの運と才能がないと駄目だと思う。
私にはその才能の片鱗があるように思えない。
いきなり将来飛躍的に才能が開花することなんてないだろう。
未来は、私はもっと綺麗になっているだろうか?
うーん、今普通の私が急に変わるだろうか?
そんな気は全くしない。
今と変わらない私の姿だと思う。
私ははぁとため息をつく。
未来には希望が持てない。
未来なんて、来てもこなくても一緒じゃない?
そんなに冴えない人生で、突出するものが何もなくて。
それでも諦めきれないこの心はどうしてだろう。
私は何もなくても何かを探したいと常に思ってる。
私にしか出来ないことが、幸せが、環境が、人が、より良い未来が待っていてほしいと、そう思うから。
だから、私はしぶとく考える。
素晴しい未来に行ける方法を。
少しでもいい。
少しでも変われば未来は変わるから。
だから諦めたくないよ。
諦めるのは最後の最後でいいから。
きっと私だって幸せになる権利はあると思うから。
題 あいまいな空
空の境界線ってどこなんだろう
私は空を眺めて思っている
色がたくさんありすぎて紺色に見える所、青色に見える所、薄い水色に見える所、沢山の色が絵の具箱のように綺麗に混ざり合っている
私は、その沢山の色を見上げて、曖昧な境界線をさがしている
ぼんやりしている所に目をやって、色の境目がないかと目を凝らす
それでも、その境界線は見えなくて
グラレーションを織りなしている。
素晴らしい色の重なりにしばし見とれてしまう
空はどこまでも広いのに、全てがグラレーションを織りなしているのだろうか
どこにも境界線は存在しないのだろうか
どこでも曖昧な空が続いているんだろうか
どこかで途切れている空を、境界線を見てみたいと思う
空の果てが存在するなら
その果てをこの目で確かめたい
そうして私は果てない空へと想いを馳せているんだ。
題 紫陽花
紫陽花の花が咲いてる。
梅雨のある日。
私はお気に入りの傘をさして、買い物に出ていた。
勉強でなくなったシャーペンの芯を買いにコンビニへ向かっていた。
梅雨の日。
見上げると傘に大粒の雨がパラパラと弾けて、細かい水滴になって流れている。
綺麗だ。透明な雫がポタポタと傘の端から流れ落ちていく。
私はふと、道の横に咲いている紫陽花を見つめた。
紫陽花の花は、青と白と紫が混じっているような、淡く、綺麗な色だった。葉っぱの色が鮮やかな緑で、その分花の色が映えている気がする。
緑の葉っぱの上にはカタツムリが這ってて、私は微笑んだ。
カタツムリ可愛いな。
小さな身体で一生懸命葉っぱを渡っている。
紫陽花とカタツムリって相性バッチリな気がする。
そして、その側には赤い傘をさした私がいる。
私もその梅雨の景色の相性にはまってるのかな。
私はそんなことを気にしながら、優しい気持ちで紫陽花とカタツムリをしばらく見つめていたんだ。
題 好き嫌い
私はあの人のこと好きなのかな、嫌いなのかな。
そんな疑問を感じてしまう。
好きって言ってくれる人がいる。
だから、私にも好きになってって。
でも・・・。
「今日は少しは好きになった?」
マモルが私に問いかけてくる。
「その質問はしない約束」
私はマモルに向かって指を突き立てる。
「分かってるけど、早く好きになってほしいからさ」
マモルは横目で私を見ながらそう言う。
「そんなに・・・いきなり好きになるものなの?」
私はマモルの言葉につい聞き返してしまう。
「いきなり好きになるよ」
マモルは私を真っ直ぐ見ていう。
「僕はそうだったから」
真っ直ぐ言われると、たじろいでしまう。
でもね・・・。
「私にはわからないんだよねぇ。マモルが感じたみたいに感じられればいいって思うんだけど」
「付き合えば好きになるかもよ?」
マモルに言われて首を振る。
「そういうことじゃないと思うんだよね、なんか、なんでか分からないんだけど・・・」
本能的に違う気がする。
付き合っても、好きになったりしないんじゃないかって。
だから、本当は断りたい。
断ったんだけど、どうしてもって言われて友達続けてるけど。
「私が他に好きな人出来たらどうするの?諦めるの?」
私はマモルに問いかけてみる。
「・・・諦めたくない。だから僕を好きになってほしいな」
「う〜ん、それは私にも分からない」
「好きって思い込めば好きになるかも?」
とんでもないことを言い出すマモル。
「それは本当に好きになったっていうの?もはや思い込みのレベルというか・・・」
「少なくとも僕は嬉しいよ」
「私は嬉しくない!」
私はマモルに抗議する。
「だから、やっぱり、好きになれる可能性は低いと思うの」
「まだ、分からないんでしょ?じゃあ友達でいてほしいよ」
「う〜ん」
困る。
困るよ。どっちなんだろう。
嫌いじゃないから余計に困ってしまう。
自分の気持ちがメーターみたいに可視化出来ればいいのに!
そしたら、ハッキリするのに。
「友達でいてくれるよね?」
すがるような目に思わず、
「うん友達ならね・・・」
といってしまう。
ああ、優柔不断な自分の性格が嫌だ。
どっちでも良いから、早く自分の気持ちをハッキリさせたいよ。
そう思いながら私は今日もマモルと下校している。