ミントチョコ

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2/1/2024, 1:26:57 PM

ゆーらゆら

私はブランコに揺れながら真夜中の公園で星空を見ていた。

ゆらゆらしていると何もかも忘れてしまえる気がした。

明日は会社に行きたくないなぁ。

そう思いながら星空を視界一杯に入れていると、何だか星空と一体化しているような感覚になる。

ここまま溶けて空と混ぜられて永遠に空に留まれればいいのに。

空から人々を眺めるのは楽しいだろうな。

私は揺れ動くブランコの振動をゆるやかに感じている。

そうしているとだんだんブランコの揺れが落ち着いてくる。

ふぅー。

私はため息をついた。

何でこんなに苦しいんだろう。

毎日会社に行くのが辛くて。

一日一日をやっとこなしている。

ブランコが止まってもしばらく私は動けないでいた。

「明日行けばお休みだから」

「明日行けば祝日だから」

「あと少しで定時だから」

こんな誤魔化しでどこまで頑張れるんだろう。

幼い頃を思い出す。
こんな風に同じように、ブランコに揺られていたけど、
小学校の時は無邪気の塊で明日の心配をすることがなかった。

ただ、私は明日が楽しみで、希望に満ちた明日が確約されているのだと思っていたのに。

それでも明日は無情にやってくる。

私はため息を付いて幼い頃の楽しい記憶がつまったブランコを振り返る。
そして、重い体を引きずって、家への帰り道を辿りだしたのだった。

1/31/2024, 11:16:12 AM

もう少しでたどり着く!

私はゼイゼイ言いながら山頂への道を目指していた。

なぜ運動音痴な私がこんなに頑張って山に登っているかというと・・・。

「ほら、頑張れ」

恋人の会社の先輩に山登りに誘われたからだ。
恋人に嫌われたくなかった私は、二つ返事でオッケーして、山登りの準備を即席でネットで調べて必要な物をネットショップでそろえたのだ。

でも・・・実は私は超インドア派。

家にいるのが趣味、あ、昼寝、ゲームも好きな家を愛してる女だ。

本当は、先輩の誘いじゃなければ断っていただろう。

土日で泊まりで行くことになり、ドキドキしながら臨んだ当日。

日頃の運動不足で1日目はあえなくホテルについてすぐ疲労で泥のように眠ってしまった。

2日目は、1日目の筋肉痛も加味されて、もう私はボロボロになりながら山頂までの苦行を強いられていた。

先輩が話しかけてくれてたけど、もう、それに答えるのもしんどくて・・・。
山頂の案内が見えてきた時には長い旅路をようやく乗り越えて到着したような希望に溢れていた。

「もうすぐ山頂だぞ、頑張ろう」

先輩の声に頷く。
最後の力を振り絞って登り切ると、そこからの景色に言葉を、失う。

「あ・・・」

雲が一面眼下に広がっている。雲の間から緑の森がずっと向こうまで連なっている。

上を見ると空をとても近くに感じて、間近に迫っているように見える。

下も上も雲に挟まれていて、まるで空中にいるかのような錯覚を抱く。

「すっごい・・・!」

「だろ?」

私が感嘆の声を上げると、先輩は、得意そうな声を上げた。

「俺はこの景色を見るために登っているといってもいい」

「そっかぁ。この景色を見ちゃうと、確かに・・・あっ」

私は同意しかけていると、足に限界がきてふらつく。

「大丈夫か?」

すぐに先輩が来て私を抱きとめ、支えてくれた。

「はい・・・」

私は先輩を見上げると、先輩は私の顔を見て、複雑な表情をしている。

「どうしたんですか?」

「ごめんな。本当は君があまり山登りとか好きじゃないって分かってたんだ。だけど、どうしても俺の好きな景色を見せたくて、ワガママ言ってしまった」

私は先輩の頬をなでた。

「いいんです。えと、またすぐ来れるかというと・・・何年後かとかなら行けるかもですが・・・。でも、今は、先輩と山頂の景色を見ることが出来て嬉しいです」

私が上を見上げて先輩の顔を見て告げると、先輩は、顔を下ろして私にキスをした。

「好きだよ」

いきなり言われて心拍数が急上昇する私。

そんな私の姿を見て、先輩はいたずらっぽく笑う。

「さぁ、下山が待ってるから、もう少し頑張ろうな」

そう言うと、私に手を差し伸べる。

「そ、そうでした〜!!」

登ったら終わりじゃなかった!
私はこの先の長い旅路を思うと絶望感を感じながら、
それでも、愛しい人と降りれるなら頑張れる、と先輩の差し出した手に自分の手を重ねたのだった。

1/30/2024, 11:49:36 AM

これ、どうやって届けようかなぁ。

校舎で拾ってしまった私の片思いの相手のハンカチ。
名前とクラスがきっちり書いてある。

なぜ拾ってしまったんだろう。
ラッキーだろうって?
いや、話したことない人だもの。

違うクラスの一目惚れした男の子。

見るだけでドキドキしてるのに。
よりによってハンカチを届けるミッションが発生してしまった。

どうしよう
どうしよう

心の中でさっきからずっと叫んでいる。

私、全然心の準備してないから、このまま男の子のクラスに行ける気がしない。
ましてや話しかけるなんて。
勇気が全く出てこない。

かといって、このままここにハンカチ置いとくのも悪いと思うし、私も嫌だし。

忘れ物置き場に置く?

気づくかな、早く届けてあげたいよね。

私がその場でウロウロしてると、同じクラスの友達が声をかけてきた。

「何一人で行ったり来たりしてるの?相変わらず面白いね」

「美紀、良いところに!」

もうこの際、誰でもいい。

「このハンカチ、真島くんのクラスに行って届けてくれる?」

「真島?あ、A組だね、志穂が行ってくれば?」

そう言われて即座に首をブンブンの横に振る。

「無理だよ、美紀知ってるでしょ?私が真島くんのこと好きなこと。無理。ドキドキしすぎて死んじゃう」

「いやいや、死なないから。私だって届けるのやだよ。A組遠いし」

「お願い〜助けると思って」

「チャンスじゃない、この機会を逃さず仲良くしたら?」

美紀の非情な言葉。

「そんなレベルじゃないんだってー。真島くんの前では固まっちゃうんだってばー」

「じゃあいつまでも片思いでいいの?」

呆れたように言う美紀。

「いいよっ、私は彼を揺らがずずっと好きでいた自分を誇るよっ!」

私の言葉を聞いて、

「だめだ、こりゃ」

とため息をつく美紀。

そこへ・・・。

「あの、この辺でハンカチ落ちてなかった?」

声に振り向くと、そこには話題の主の真島くんが立っていた。

「あっ!あっ、まっ」

ことばにならない私を見て、美紀が答える。

「あるよー、志穂が持ってる」

そして、私を指さした。

「ごめん、この辺でジュース買おうと小銭取り出したひょうしに落としたみたい、ありがと」

真島くんの整った顔を間近に見て、わたしはこくこくと機械人形のように首を縦に振ることしかできない。

そして、手に真島くんのハンカチを置いて差し出した。

「ありがとう。拾ってくれてて助かったよ」

笑顔で私の手からハンカチを受け取る真島くん。

「じゃあ」

そう言って去っていく真島くんをボーッと見ていた私は、我に返ると、美紀に訴える。

「見た?見た?尊いよね〜!かっこいいし、優しい。この世のものとは思えないよ〜」

「もはやそれって恋っていうか推し活では・・・」

美紀はさっきから呆れ顔だ。

「もう、真島くんが触れた手は洗いたくない〜!」

「なに馬鹿な事言ってるの!汚いから洗いなさいよ」

そんな美紀の叱り声を聞きながら、私は真島くんにハンカチを届けるミッションが成功して、満足感で一杯だった。

1/29/2024, 12:18:56 PM

心の中でいつも言ってる。
でも言葉には出来ない。

恋人になったのに素直になれない私。

「ちょっと、昨日連絡くれなかったじゃない?なんでよ?」

昼休み、違うクラスの私と彼は中庭で待ち合わせてご飯を食べる。
昼食を持って中庭に来た私は、彼の顔を認識した途端、きつい口調で彼にくってかかっていた。

「仕方ないだろ。昨日は部活遅くて、そのまま家帰って宿題してたら睡魔に襲われたんだから。朝びびったのなんの。慌ててシャワーして学校来て宿題してたんだぞ」

そう聞くと、部活大変だったんだな、とちらっと同情の気持ちが湧くものの、私の口からは気持ちとはうらはらな言葉が出ている。

「だからって大事な彼女に一言連絡あってもいいじゃん?昨日、電話しようって言ってたから待ってたんだよ」

私だって、部活まあまあ遅かったけど、家帰ってからずっと彼氏との電話を楽しみに待ってたのに。

でも、彼氏は、そこまで私のこと思ってくれなかったんだなという思考になってしまう。

もともと友達だった私達は、付き合った後もいまいち甘い雰囲気になり切れない気がしてる。

「まぁ、それは・・・悪かったよ。昨日の宿題、あり得ない位出てて、終わらせないとって結構焦っててさ」

言い訳のように聞こえてしまって、私の機嫌はなかなか治らない。

「私って、あんたの何?友達なの?友達ならしょーがないよねっ、別に連絡忘れても謝ればいいもんねっ」

言いながら、可愛くないな、と思う、自分のこと。
でも、本当に大事に思われてるかなという不安が心を占めていて・・・。

「友達・・・だよ」

「え?」

彼氏の言葉にドクっと心臓が爆音を上げる。
友達?に戻りたいってこと?

パニックになって青ざめる私に気づかず、彼氏は私を見る。

「友達だし、親友だし、恋人だよ。だからこそ甘えちゃったよな。ごめん、お前のことだから待っててくれたんだろ?」

私の頬に自分の手をあてて、私にいたわるような視線を向けてくる彼氏。
急にそんな顔を向けられて、私はこみ上げてくる涙を抑えられなかった。

「泣くなって」

彼氏が私を抱きしめる。

だって、不意にそんな優しいこと言われたら。
どうしていいか分からなくなる。

「今日は絶対電話するから待ってて」

優しく背中をさすりながら言ってくれる彼氏に、私はただ頷く事しか出来ない。

愛してる。

やっぱりあなたを愛してる

言葉にはなかなか出来ないけれど、無限のI love youは、私の心にいつも渦巻いているんだよ。

1/28/2024, 11:48:58 AM

街へ行きたい。

今日は休日。
いつもは家と職場の往復だから、見慣れた景色しか見られない。

だけど、今日は久しぶりのお休み。
いつもは足を伸ばせない街へ行くんだ!

彼と街でデート。
朝目覚めた時からウキウキで、幸せに包まれて起きた。
楽しみすぎて、早く起きすぎたせいでご飯ものんびり食べられた。
メイクして、服を選んで、持って行く物を整理して・・・。

1日を思ってため息をつかなくていいから、こんな日は、本当に幸せだって思う。

今日はどこに行こうかな、と考える。

会ってから決めようね!と話していて、彼氏も、どこ行こうか?と楽しそうだった。

お互い忙しくてなかなか会えなかったから、余計にワクワク感が膨らんでいる。

街に行ったら、まずはカフェがいいかな?水族館もあるし、映画でもいいな。
美術館っていうのも楽しいよね・・・。
ちょっと遠出してテーマパークっていう手も・・・。
彼氏が行きたい場所を聞くのも楽しみだな♪

鼻歌を歌いながら、家の電気を消して、靴を履いて、家を出る。

会社を出るときとはえらい違いだな、と苦笑しながら。

「行って来ます!」

私の弾んだ声と共に、パタリ、とドアが閉まり、カチャリと鍵がかかった音が部屋に響いた。

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