寒いな・・・
仕事帰り、私はてくてくと夜道を歩いていた。
疲れた・・・。
今日も1日大変だったな〜。
1日を思い返す。
クレームが一件入って、仕事進まなかったし、他の社員がミスして、みんなでデータ入力手伝ってたし・・・。
ふう・・・。
ため息が出た私は、いつも、帰りがけに通るコンビニに寄る。
いつも買うラインナップは、温かいホットレモン。
疲れると、凄く飲みたくなって。
後は、健康に気を使ってヨーグルト、今日は自分にお疲れの意味も込めて、おでんも追加。
ちょっと家に帰って料理する手間だけ、自分に自由時間あげようっと。
買い物を済ませコンビニを出る。
さむっっ
寒すぎて震えた私は早速購入したホットレモンを飲む。
暖かくて、優しい酸味が疲れを癒やしてくれる。
喉にもいい気がするしね!
私はレジ袋を腕にかけて、ホットレモンをカイロ代わりに歩き出す。
と、、、。
「ゆき・・・?」
白い紙片みたいなものが目前を横切った。
上を見ると、沢山の雪。
わー、雪だ!と思わず見とれる。
黒い空に白い色が映えるな〜と思って見ていると・・・。
クシャン
あまりの寒さにくしゃみが出てしまう。
(いけない、早く帰らないと風邪引いちゃう)
急ぎ足になる私は、家への帰路を急ぐ。
両手にはホットレモンがある安心感。
私はこくっと一口またホットレモンを飲む。
ひらひらと降る雪も、暖かいホットレモンのおかげで少し余裕を見て眺められる。
きっとなかったら寒い〜って、走り抜けてただろうな・・・。
そしてそんな私は、明日もまた絶対に、ホットレモン買おう、と心に決めていたのだった。
「ずっと一緒にいたいね」
約束していたのに。
去年はこの木の下で一緒に帰り難くてずっと話してた。
私は、隣に誰もいないガランとした空間を眺めた。
「一緒にいると幸せだね」
って、瞳を見合わせて笑ったことも・・・
「やっぱ帰したくない」
って、帰ろうとする私を引き止めて抱きしめてくれたことも・・・
全部全部、あなたのあの一言を聞いた瞬間に終わってしまった。
「他に好きな人が出来たから別れて欲しい」
一瞬で地の底に叩きつけられたような衝撃。
その後のことはほとんど途切れ途切れの記憶。
泣いて泣いて泣きつかれて
頭痛がしてそれから・・・。
ねえ、あの時言ってくれた事は・・・嘘だったの?
その質問だけが頭を繰り返し浮かんでいた。
あなたが次の日には冗談だって言ってくれること、期待してたのに・・・もちろんそんなことはなく。
私は今、この木の下に立っている。
好きだったよ。
大好きだったよ、たとえ、私の一方通行だったとしても。
ウソつき。でも好きだった。
今はまだ忘れられないあなたとの記憶。
いつか風花できるのかな?
私はその時が来ることを願いながらただ、ここに立ちつくすことしか出来なかった・・・。
ある冬の日。
私は散歩大好きな愛犬のミルクと散歩に出た。
休日の早朝
お年寄りの夫婦がランニングをしたり、同じ犬を散歩に連れた人がチラホラと見える。
早朝の朝の光は、日光に反射してキラキラ光って見える。
「気持ちいいねー!」
可愛い私の犬に話しかけると、ワンッと元気がいい返事が帰ってきた。
フワフワの茶色い毛の生えた頭を、ナデナデすると、ワン、と嬉しそうにしっぽをふるミルク。
「よーし、今日は天気もいいし、気分いいからちょっと遠回りしようか?」
私が言っている言葉を分かってかどうか、ミルクは、もう一度ワンッ、と元気良く跳ねる。
私とミルクは、勢いよく走り出す。
朝の誰もいない細い道に入り走り出すと、私達二人だけの世界のような気がする。
「このまま、この道を出たらどこか異世界へ出たらどうする?」
私がそう言うと、
「ワーン?」
ミルクは不思議そうな顔で一瞬立ち止まった。
「冗談だよ、さ、行こう!」
私達は細い道を出た。すると・・・。
辺り一面、綺麗な花が一面敷き詰められていた。
「わああ、って、え?本当に、異世界?」
不思議に思っていると、
「新年のセールです!お花、いかがですか?」
と、横からお姉さんに話しかけられた。
「あ・・・買います」
財布がちょうどポケットにあったのと、急に話しかけられた動揺から、ついつい購入してしまう。
「ビックリしたね、でもいい匂いでしょ」
ミルクの鼻に花を近づけると、ミルクはクンクンと匂いをかぎ、ワンッと私を見た。
「よーし、後で飾ろうね。じゃあ、新たな冒険に出発!」
そう行って、私とミルクは再び朝の新鮮な空気の中を走り出したのだった。
「幸せって何だろーね」
学校で私が友達と雑談中ポツリと呟くと、友達は不可解なモノでも見るような顔をして私を見る。
「どうしたの?いきなり」
「うーん、何か、この国に産まれて、住むとこも勉強の環境も整ってて、食べるものもあって、あまり不快を感じることがないのね、私。だからそれが幸せなのかなーって」
「そうだよね、こうしてただ、当たり前にあって気付けないものって意外とあるのかもね・・・」
友達が、感心したように私に言った。
「うん、恵まれてるんだよ。でも、こう幸せだなーって実感もなくて。幸せなのかな、幸せなんだよね、きっとって自分を、言い聞かせてる気がする」
私の言葉に友達が、同意する。
「わかる気がする。まあ、私は、何か落ち込むことがあってこその幸せかな、とは思うよ。ずっと幸せなら、幸せしか知らないことになって、不幸が分からないから、幸せの有難みも分からないって何かで読んだな〜」
友達の言葉に妙に納得する私。
「そっかー、じゃあ、私がこうして、何か落ち込んだり、悩んだりすることにも意味はあったんだね」
「そーだよ、沢山考えるといいよ」
友達にくしゃくしゃ、と髪を撫でられる。
「ちょっとー髪がぁ!」
私の抗議の手を素早くよける友達。
二人でこうしている時間も案外幸せなのかもしれない。
新年の地震、とても驚きましたし、心も痛みました。
皆さんの無事を心からお祈りしています。
寒い日が続いているので、体調にはどうぞ気をつけて下さい。