kiliu yoa

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9/9/2024, 4:02:15 PM

「この宝石、とっても綺麗ね。」

「そうだろ、きみの為に世界中を探し回って見つけたんだ。」

微笑む若い女性と誇らしげな初老の男性、歳の差は孫と祖父ほどある。

しかし、このふたりが一緒に居ると何故だかしっくりくる。

なんとも、不思議だ。

多くの場合、非常に不釣り合いで娼婦とその客に見える。

なのに、あの夫婦は仲睦まじい夫婦だとひと目で分かる。

言葉では、表せない何かを感じる。

ああ、きっとそれは雰囲気だ。

麗らかな春のような暖かい、心地良い柔らかい雰囲気。

お互いに自然と気遣い、支えあって手をつなぐ姿。

もしかしたら、これが夫婦の『かたち』なのかもしれない。

もし、そうなら私もいつか、こんな風な関係を築きたいものである。








9/8/2024, 12:03:24 PM

あなたは、あたしを置いて世を去った。

あなたは、まだお若くあらせられたから、皆々『なんと悲しきことだ。』

と、心もとない言葉をうやうやしく申して、

偽りの憂いの面持ちをして居られました。

しかし、あなたを慕う親しき方々は、違いました。

『あゝなんと申せば良いのでしょう。』と、ぽつりと申され、

悲しげな悔しげな寂しげな哀しげな、言葉では現し難い複雑な面持ちで

涙を堪えきれず、皆様泣いて居られました。


美しき 咲かせた花の 散り際は 色濃く現る 一期の姿


今日の一日を通して、浮び上がった短歌です。

人生という名の美しい花は、どれだけ足掻こうとも、

最期には死という形で散ってしまいます。  

しかし、その花の散り際には、その人の生き方が、どれだけ隠そうとも

鮮明に現れることを、あなたの死を通して知りました。


 あなた…、ああ…、どうして、わたしより先に…、あなたが……。

 お願い……、どうか、戻って来て、一度だけでも戻ってきて。

 そして、云われて下さい。

 ……誰よりもお慕い申しておりました、と。

 ……誰よりも愛おしく想っておりました、と。

 あゝ……なんで云わなかったのだろう。

 あゝ……なんで、あなたが去った後に気が付いたのだろう。

 もう一度だけ、夢でも良いから、あなたに逢いたい。



 







 

 

8/31/2024, 2:44:43 PM

「兄さま、あなたの苦労は、僕が一番存じております。ですから……、」


「貴方に私の何が分かると言うのですか。

 兄のように、弟たちのように、貴方のように、

 私だって、天賦の才が欲しかった。

 永年、封じてきた羨望を、為せぬ苦しみを、支える身の葛藤を、

 そう分かったように仰せにならないで下さい。

 私が如何様な思いで、貴方を兄として支え、お守りしてきたか、

 貴方には、到底分からぬことなのです。

 いえ、解ったとしても、想像出来たとしても、

 我が身で経験してない人間が、そう簡単に仰せにならないで下さい。

 
 この、苦しみというには深い傷を負い、決して癒えることの無かった、

 その傷を隠し、恥じて生きてゆく身として、

 貴方に忠誠を誓う身として、唯一の願いにございます。」


8/21/2024, 2:19:49 PM

あなたは、白い隼のよう。

いつもまっすぐ、わたしのもとに来てくれる。

たくさんの愛情と色欲を注ぎ続け、わたしを満たしてくれる。

そして、貴方はわたしのもとをあっという間に去ってゆく。


それは、わたしが貴方の一番では、嫡妻では無いことを意味している。

わたしは所詮、妾に過ぎないことを如実に現している。


貴方が酷いひとなら、よかったのに。


貴方が酷いひとなら、鳥のように飛び立てたのに。

8/20/2024, 7:10:11 AM

夕空の 焼きつくやうな 陽光は 人目を憚ぬ 燃えゆ恋のよう

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