kiliu yoa

Open App
4/30/2024, 2:32:19 PM

目は閉じ、口は弧を描く。

上品に微笑みながら、さり気なく気遣う。

時には甘い言葉を囁やき、時には励ましと労いの言葉を掛ける。

あなたは触れられる前に、その手からすり抜けてしまう。

あなたを欲してしまえば、そこには居なくなってしまう。


口の中で、甘く、蕩けて、無くなる。


そう、あなたは、まるで蜜のよう。


楽園という名の、あなたという名の、


鮮烈な、甘く、蕩ける、毒を知ってしまえば、


もう他のものでは、満たされない。





4/27/2024, 3:11:28 PM

生きる意味など、私には無い。

唯、生きたから、生きる。

唯、それだけ。





4/26/2024, 2:02:00 PM

「面を上げよ。」

威厳のある、低い男の声が響く。

その声は、深く……土下座をした、初老の男に向けられた。

初老の男は罪人のように手錠をしていたが、

その容姿、その所作から、高貴な身分であることは明確だった。

「私なら、どんな目に遭おうと構いません。

 あの方だけは……、あの方に連なる血筋の方々だけは……、

 処刑しないで下さい。

 どうか、どうか、お願い致します。」

初老の男は、膝を付き、手をハの字に置き、深く頭を下げた。


威厳のある男は、初老の男の行動が全く理解出来なかった。

彼が知っている、高貴な身分の人間は全く頭を下げたりなどしなかった。



だから、彼は初老の男の懇願を退けた。

そして、彼は初老の男の言う、『あの方』と『あの方の血筋に連なる方々』

を皆処刑した。


何故なら、彼にも……初老の男のように、

彼を信じ、仕え続けてくれる者たちが居たのだから。




4/22/2024, 7:48:04 AM

妻の愉しそうな声が、庭の方から聞こえてくる。

そして、妻と楽しそうに話している、彼の声が聞こえてくる。



一筋の冷たい液体が、私の頬を伝い落ちた。

何故だろう。

私は、あわててハンカチを取り出して、

ハンカチを見て、また、目から冷たい液体が頬を伝う。

このハンカチは、妻が初めて刺繍したものだった。

落ち着こうと、コーヒーを淹れても、

冷たい液体は、目から一滴ずつ流れてくる。


気が付くと、リビングのソファに横になっていた。

どうやら、泣きつかれて、眠ってしまったらしい。

目の前に、暖かい紅茶が置かれた。

「貴男。」

妻の優しく澄んだ、いつもの声がした。

「はい。」

何だが、泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、

妻と目を合わせられなかった。

すると突然、妻は私を抱きしめた。

「ごめんなさい。わたしは、貴男に甘え過ぎてしまっていた。」

視界がぼやけて、涙が溢れた。

「こちらこそ、ごめん……。彼を招いて良いよって、言ったのに。」

「良いの。貴男のおかげで彼と再会することが叶った、本当にありがとう。」

「私を尊重してくれて、ありがとう。」

私は、妻を抱きしめた。





4/13/2024, 1:29:21 PM

櫻の散り際の見事な花吹雪。

この散り際の美しさに敵う花など無いように、私は思う。

それほどまでに、美しい。

そして、その美しさには、晴れ渡る青い空が欠かせない。

晴れ渡る春の空があってこそ、櫻の花吹雪は美しさは際立つように感じた。



Next