kiliu yoa

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1/15/2024, 10:34:10 AM

美しいものは、皆、好きだ。

自然も、芸術も、歴史も、文化も、言語も、人も、美しい。

この世界は、時に編み出された、美しいものたちで溢れている。











1/13/2024, 4:24:10 PM


誰だろう。

白いレースのワンピースを着た少女が、こちらに駆け寄ってくる。

艷やかな黒檀の髪。

明るい琥珀の優しい眼差しの瞳。

朱色の紅がさされた口は弧を描き、微笑む。

ここは、どこだろう。

蝶は舞い、あたり一面に美しい花々が咲き乱れている。

『さようなら、愛する貴男。』

彼女の思考が流れてくる。

「生きて。」

彼女は涙を流しながら、柔らかく微笑みながら、そう言った。


目が覚める。

自然と、私は涙が溢れていた。

何故、夢の中で気が付かなったのだろう。

夢の中の少女は、幼き日の愛する貴女だったことに……。
















1/12/2024, 1:08:28 PM


統一という偉業を成した、この王国は滅びゆく。

統一を成した王が亡くなって、僅か四年余りで滅びてしまった。

あなたと共に築いた王国が、あなたと共に生涯を通じ尽力した王国が、

あなたを亡くすと共に引退した、私が生きているうちに

こんなにも呆気なく、滅んでしまった。

あなたを亡くし、あなたと共に尽力した者が抜けた穴は、

本当に大きかったようだ。

先ほど、新しい王朝の使者が来た。

どうやら、私とその部下が欲しいらしい。

私は、その役目を受けることにする。

老体に鞭を打ち、復帰することにしようと思う。

こんな、思いは二度と御免だからね。

あなたが望み、志した、平和で安定した治世。

それを永く実現できるよう、これからは尽力して参ります。






1/11/2024, 1:59:32 PM

若は、今日も槍を振るう。

極寒の中、手の皮は破け、血が滲みながらも槍の修練をする。

僕には、何故そこまで修練を積むのか理解出来ない。

若は血筋の良い生まれで、次期当主として一族の中でも高い地位だ。

彼の父たる殿も、武将としての地位は高い。

そこまで修練を積まずとも、血筋で良い地位に就ける。

そこまで修練を積まずとも、血筋で良い兵士に恵まれる。

なのに、何故、そこまで修練を積むのだろう。

「若、そろそろ中へお入り下さい。」

「ああ、きりが良いところで止める。」

「先ほども同じことを仰っられたではないですか。日が暮れてしまいます。」

「いや、もう少しだけ続ける。」

「では、僕と勝負をしましょう。」

「僕に勝てば、若が気が済むまで修練を積んで良いです。

 僕に負ければ、今日の修練は終わりにして下さい。」

「ほう、良いだろう。」

互いに構える。

地面に積もった雪は舞い、刃を交える。

勝負は、着いた。

槍は若の手から離れ、剣が若の首の寸前で止まる。

「僕の勝ちです。」

私は、そう宣言した。

「チッ、俺の負けだ。」

「本当にお強くなられましまね。次は負けてしまうかも知れません。」

「嘘をつけ。」

「嘘ではありませんよ。実際、危うい場面が何度もありました。」

「そうか。」

どこか、悔しそうな若の表情。

「何故、貴様は強い。」

「僕は、ここで死ぬ訳には参りませんから。」

「ほう、それはあの人に仕えているからか。」

「いえ、違います。殿に仕えるためではありません。」

「大王に仕えているからか。」

「それも、違います。昔、幼き頃から仕える主君と約束したのです。

必ず生きて故郷に戻ると……。僕の最期は、主君の側で迎えると……。」

「なるほどな。念の為、周囲には伝えぬ。」

「感謝致します。」













1/10/2024, 4:20:57 PM

それは、大人になるという指標。

大人という概念は、わたしにとって極めて曖昧なものだ。

成熟する。

その基準も、人により異なるだろう。

何を持って、大人とするか。

何を持って、成熟するのか。

わたしには、まだ分からない。

むかし読んだ作品には、

『大人とは、嫌いな人間の幸福を祈れるようになることだ。』

と、記されていたような気がする。

それは、当時のまだ幼い私は腑に落ちるものだった。

今のわたしには、そう思えることが如何に難しく凄いことか、

少しだけ垣間見えた。

それは、越えられぬ城壁のように大きい。


大人とは、子どものわたしには理解が及ばぬ、

様々な感覚があるように感じる。

言葉には現しきれぬ、感覚。

その感覚を得られるほどの歳を重ねたいものである。











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