誰だろう。
白いレースのワンピースを着た少女が、こちらに駆け寄ってくる。
艷やかな黒檀の髪。
明るい琥珀の優しい眼差しの瞳。
朱色の紅がさされた口は弧を描き、微笑む。
ここは、どこだろう。
蝶は舞い、あたり一面に美しい花々が咲き乱れている。
『さようなら、愛する貴男。』
彼女の思考が流れてくる。
「生きて。」
彼女は涙を流しながら、柔らかく微笑みながら、そう言った。
目が覚める。
自然と、私は涙が溢れていた。
何故、夢の中で気が付かなったのだろう。
夢の中の少女は、幼き日の愛する貴女だったことに……。
1/13/2024, 4:24:10 PM